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2012年8月19日日曜日

太陽を超えし者たち




を超し者

夏の小説祭り

1

カーターがハウスにもどると、ケンカになっていた。
クラークがいう。
「万軍を指揮する将軍の奥方とかおのずから万軍を率いることができるもんなんだ。おめ、自分がガキになってわがままいってるだけだろ。おめーの母ちゃん、田舎ののら百姓の娘だな」
「クラーク君。くちをつつしみたまえ」アルフレットがいう。
カーターは思った。
(え?私の妹…?)
クラークはなおも言う。
「ただ自分が威張りたいだけで、人、指揮できると思うなよ。お前みたいなの単純作業こなせばいいんだ。どういう風に指揮されたら、どう感じるか学習できるだろ。指示はオレがだすから、足引っ張るなよ」
パーカーが止めた。
「決戦は4日後だろ~ふたりとも~。争うなら当日にしような。な!」
アルフレットはおちつきはらって、腕組みをしてつったっていたが、こういった。
「表に出たまえ。クラーク君」
「上等だ」

クラークが槍を練習どうり、投げる。
「おう!」
ジャンプしてキャッチして、そのままアルフレットにたたき投げた。
アルフレットはおちついている。よけない。
アルフレットの体がオーラで光る。

グオオオオオー

クラークの槍はアルフレットにダメージがない。

「なんだと!?」
「クラーク君。残念だが、君の攻撃は僕に通用しない。太陽ですら僕にダメージを与えることはできなくなってしまった」
カーターは無言で見ていたが口を開いた。
「バカにみえるが、言ってることは本当だ」
アルフレットは気軽に手を前に出した。

ゴオオオー

クラークははるか後ろに吹っ飛んだ!
「うお!?」
パーカーがたすけおこしたが、クラークは怒りに燃えていった。
「いわさんといかん。あと4日で修業しなおすしかね。巨人なんか本気出せば一発なんだ。いわさんといかんのアルフレットの野郎だな」


2

「一番手っ取り早い修行は戦闘だな、クラーク君」
クラークはおきあがりながら答えた。
「なるほどな。パーカー…オレ、TVカメラ回ってる前であいつたこ殴りにしかねねーから、気をつけてな…」
アルフレットは微笑んで突っ立っていたが、気配を感じていった。
「クラーク君。お客さんだ。例の巨人どもがきた。予定より早いが?修行の足しになる」
次々と虫の羽の生えた巨人どもが到着した。
パーカーの顔が恐怖でひきつった。
「クラーク君。僕の力をみせよう。聖なる力は穢れた巨人どもを一掃するだろう」
「聖なるかなくん、だもんな。見せてもらうぞ」
「太陽に潜って見つけたものだ。太陽の胸飾りと名付けた。聖なる力で太陽をコントロールすることができる」
そういうと、手を軽く上にあげた。

太陽の13が降ってきた。

「おめ!おい!」
「安心したまえ、惑星は僕のアウストラガードでカバーする」
パーカーがあせった。「本当に大丈夫なのかアルフレット!!」
ゴゴゴゴオオオオオッ

輝く姿のアルフレットは勝ち誇ってすましている。
穢れた巨人どもは高熱のガスで焼けた。
「く、なんか熱いぞ、アルフレット!!」
クラークがさけんだ。
「おっと失敬!オーラのガードをつよくしてあげよう」




3

灼熱のエネルギーはあまりに高温だった。
「グッ!オオオオオオ」
アルフレットのガードも押され始めた。
カーターがさけぶ。
「アルフレットなんとかしろ!どうするんだ!パーカー」
「確かに、どうにもできないぞ」

机の上に札束を置いておいても何もおこらない。
金は買い物をして、支払ったときに効果が現れる。
エネルギーは存在するだけで何もおきない。

オイルのような化学エネルギーは燃焼して、熱エネルギーに変換されたとき、仕事をする。
位置エネルギーは運動エネルギーに変換されたとき、仕事をする。

時計の針を動かしているのはエネルギーではない。“時間がすすむこと”である。
エントロピーは時間とともに必ず増加する。
エントロピーが増加するとは乱数表を消費することだと、ある種の科学者はいう。
時間の終焉とはエントロピーが増大しきったときだと。

太陽の時間が何億倍も速く流れ寿命が13も短くなった。
エントロピーは閉じた系では必ず増加する。
しかし、太陽のエントロピー増加が犠牲になることで、パーカー達の惑星の時間が逆流した。
あまりの火焔のエネルギーが時間を巻き戻し、そのぶん太陽が年をとる。

ゴ…ゴ…オオオオオ……ゴゴオオ…ゴオ





シュゴオオオオオオー
惑星エジオンは2時間前に戻った。

5人はテーブルに向かっていた。
「ならどうする?クラーク」
「うーん、しかたないだろ。オレも同じさ…」

パーカーは葉巻をふかしていた。
煙といっしょにバニラの香りが広がったが、全員喫煙者のろくでもない集団だったので、誰もとがめなかった。
アルフレットがいう。
「オレもパーカーの人気がなくなって、エジオンの支配者でなくなったら、悪いけど地球のポリスにもどるな」
クラークもいう。
「確かに形見がせまくなるさ…」
パーカーがいう。
「たぶんそうだ。私がアーリーリタイヤしたり、失脚したらお前たちは肩身が狭くなる。この惑星にいづらくなるだろう。だから横暴な態度はよせ」
カーターの剣が光った。
トルルッルー
「来た!」
カーターは閉じていた目を開いた。
アルフレットがいった。
「クラーク君。僕にはもうソードはいらない。生身の体が最高の武器となってしまった。よってライオンソード2はカーターに、送ったさ」
クラークが煙草に火をつける。
「一本くらい吸っとかないとな。スカイモンキーどこにしまった?」


4

パーカーがいう。
「待て。みんな、出迎えることはない。それより私の話を聞け。私の女だが、父のことをバカにした。バカにしたというのも大げさで、不安に思った。それくらいでいいと思った。安心されても困る。だからそれはいい。だが、その彼女が父に似ているのを見て驚いた。というよりガタガタ震えそうになった。たまたまだといいが、しぐさがそっくりだったのだ」
カーターがいった。
「なんだか、気味が悪くなるような話だ。これから戦闘というときに」
クラークがいった。
「流れ星になって地上に落ちてくる前は血がつながってたとかかい?おんなじ民族ならだいたい遠縁だぜ」
レイチェルモンドが空になったグラスをおいていった。
「子どものころ、学校から帰るだけで冬など寒くて死にそうだった。大人になったら、服や暖房が進化して寒くないとか?冬に外出しても子供のころ見たいにつらくない。幽霊など、怖くて恐怖だったのに、大人になるとそれほどでもない。これは大人になって幸せになったといえるのでしょうか?」
「私は今でも怖い!」
カーターがいった。
「子どもは5kgの重りを持ち上げるのも大変だが、大人には簡単にできることだ。それと同じだと思う。幸福かどうかは…子供のころは他愛もないことで一優できるのだから、それが幸せだったというべきだ。子供は大人を見て羨ましがらない。辛そうだからだ。生徒は学校教師をみてもつらそうに見えるものだ。楽園の住民などかえって苦しそうに見えなくもないのだろう」
「吸い終わったからいくぜ」クラークが走りだした。


巨人どもは、冒涜や大仰なことばをやめなかった。
パーカーはいった。
「それでこそ、我が好敵手!遠慮なく抹消させてもらえるぜ。私からいく、前回は戦闘しなかったからな」
アルフレットは大仰なセリフをはいた。
「なるほど、パーカーの戦闘がじかに見られるわけだ」
いろいろなスイッチのついた、望遠鏡の筒みたいな装置をとりだした。
「カスタムキャノン」
ドシ!
巨人を素通りして天に何か発射された。
霧のように細かい水滴のようなものが中空に漂う。
最新光ファイバーの一種で光線を集めると計算された一か所に降り注ぐ。
巨人たちに光の集合体が降り注ぐ。

キラキラキラ

巨人は熱をうけたが、たけり狂い、棍棒をたたきつけてきた。
パーカーは走り回ってやっとかわした。
「クソ!くらえ」

ドン!

握りこぶしの形をしたいかづちが巨身のみぞおちに命中する。
「お…おお。ゴフ!」
巨人は目をむいて苦しそうにしている。
さらに、光の熱線が降り注ぐ。
「ゴ!アアアア」
突然、火だるまになり暴れだす。
周りの巨人に殴りかかり、冷静な仲間に首を切り落とされた。
ドザ!
巨身が地に倒れる。

「次は僕のばんかな…」
アルフレットがとびだした。


5

巨人は数人がかりでアルフレットに殴りかかった。
アウストラガードで防御しているアルフレットには全く効かなかった。彼は腕組みをして、オーラで輝きすましていた。
「さて、残り全部僕がかたづけてしまうか」
クラークが太い声でいった。
「別にいい。やつらパワーアップした俺の槍の敵じゃねーし。めんどくさいから、おめがかたづけろ」
「よかろう。クラーク君」
アルフレットは巨人の一人を軽く殴った。
ドン!
巨人は数歩後ろにふきとんだが、踏ん張ってこらえた。
「フーン!ゴア!」
口が裂けたように笑い、目には怒りの炎が燃えている。
反撃に殴りかかったが、オーラにはじきとばされた。
アルフレットは巨人どもをつぎつぎ殴り飛ばしていく。
「あいつ無敵だな」クラークはスカイモンキーを楯にして、とばっちりをさけた。
「フン!」
最後の一体をはじくと、巨体を回転させ、後ろにふきとんだ。
と、だれか小さいのが、手で巨人を止めた。
が、次の瞬間ものすごい力で殴っていた。
ドガアアッ!!
その巨人は頬が砕け散り、無残な死骸となってころがった。

「なんだ?やつらガオンだ」クラークが叫んだ。「だけど、少し形が違うな。二匹いるし」
≪ガオンデモン≫
≪スーパーガオン≫

左手がカニのハサミになっているガオンデモンは、ハサミから光線をアルフレットに放った。
ガー
「おっと」
アルフレットはオーラでガードしたが、1mほど後ろにずり押された。
「クラーク君。僕のオーラがそこをつきそうだけど…」
そういうが、クラークは槍を投げていた。
ガオンデモンは人の手の右手を突き出した。
「とっさの判断におくれるところ、前のガオンとおんなじだ」そういってクラークはダッシュでかけこんだ。
槍は手のひらを突き破ったが最悪そこで止まった。
「やつら、体柔らかいんだ!」クラークは容赦なく蹴りを槍の尻にぶちこんだ。
ドシ!
ガオンデモンのひたいにあられもなく槍が突き刺さる。
「ガ……グゴ……!!」
次の瞬間、クラークは槍をひきぬいて後ろに下がった。
ガオンデモンは手でひたいを抑えてこらえたが、激痛と屈辱でふるえた。
緑色の血液がぼたぼた落ちる。
黄色の光が発光され、傷をいやしだした。
「みろ、もうこんなにダメージ喰らわせたぞ」
クラークはスカイモンキーを楯に構えた。
「次の攻撃もうわかる」
ガオンデモンはカニの手をのばしてクラークを攻撃した。
3mも伸びた。
スカイモンキーにぶつかったが、クラークはさらに後ろに下がった。
それ以上腕は伸びなかった。
ガオンデモンは肩で息をしていた。出血がひどかった。
スカイモンキーをブーメランのようになげると、ソフトウェアが自動で空中を飛びまわる。
ガオンにすきができると接近し、構えるとはなれる。
「グ!」
ガオンデモンは傷をいやしながらも、空中を飛んで構えた。
クラークは槍を投げた。
「おう!」
ダッシュしてジャンプし、槍をキャッチしてぶち込んだ。
が、カニのハサミで槍をはさまれた。
「あれ?おかしいな」


6

ガオンデモンはクラークの槍をハサミでつかんだまま、蹴りをいれた。
スカイモンキーがナイスタイミングで飛んできて、楯になった。
ガッ
クラークは槍をはなして、空中からスカイモンキーにのりうつった。
だが、重量オーバーのため、結構な速度で下降気味になった。
「うおー」
ガオンデモンは槍を下に投げつけ、自分はそのまま空中に浮いていた。
両手でスカイモンキーにぶらさがり、ゆっくり下降する。槍をかわし脚をじたばたさせる。
着地すると、槍をもぎとるように、キャッチしダッシュで勢いをつけジャンプ。スカイモンキーを左手でつかみ、グラーダーのように、ガオンに向かう。そのまま右の槍を喰らわせた!
槍は突き刺さった!
だが、ガオンのハサミがクラークの腹をえぐっていた。
クラークは左足を、浮いているスカイモンキーにあしがかりにし、最後の反撃を喰らわせた。
クラークの頭突きはガオンデモンの顔面をぶち破り、ふたりともそのまま墜落した。
無意識に槍をつかんだクラークは突き立てる形でもつれあい、地面にたたきつけられたときには、ガオンの頭がい骨を槍が貫いていた。
ガオンは緑色の体液がドクドクあふれだし、かわいた果物のようにしぼんだ。


7

ガオンデモンは最後の力を振り絞り、カニのハサミでクラークをつかんだ。
そして、光線をつかんだまま放つ。
ガガガガー
「ごおおおおおおおおおお」
クラークは直撃を喰らい、数メートルふきとび、そのまま気絶した。
湯気のように煙が上がっている。
ガオンも死んだように見える。

レイチェルモンドが「私が戦いましょう」そういって素手でつかみかかっていった。
スーパーガオンは前の二人よりは体格のいい、そして、肩からつのが生えていた。
「敵は、ガオンといい、巨人といい連携が悪い。子供になり比べ、意地の張り合いでは、組織のように連携した動きが取れない。それで我々は助かっているわけですな」
スーパーガオンと組合ながら、レイチェルモンドはしゃべる。
「敵同士が以外と争ってくれるのでヒマが生じる」
そういって、ガオンの肩をがっしりつかむと、足のヒザを立てて、のしかかるように押し倒した。
ヒザを角のように突きたて、体重を乗せガオンを倒す。
「ガホ!!」
「……」
レイチェルモンドは無言で起き上がる。そのとき反動を体重をガオンに乗せて起き上がる。

スーパーガオンはよろめきながら起き上ったが、回し蹴りを喰らわせてきた。
ガッ!
レイチェルモンドは腕でガードしたが、いい音をたてて喰い込む。
「我々も敵も一対一で戦うのは、連携した攻撃は訓練をしないとできるっものではないからです。自分の攻撃が見方にあたりかねない。波状攻撃など学習し、訓練しないとない」
「僕は一対多数で闘ったけど?…さすが職業軍人」
アルフレットは充電するようにオーラをためながらいった。
「もとです」
そういうと、レイチェルモンドは左手でスーパーガオンの足をつかみ、右手で頭をつかむと、一回天させるように持ち上げ、頭から落とした。
ズカン!
ガオンはおきあがると、怒りにまかせてパンチを打ってきた。
受け止めると、そのままブレーンバスターのように放り投げた。
自分も後ろに倒れたが、回転の半径が長距離で、スーパーガオンが倒れるのに長い時間があった。そして、ダメージはそれに比例した。



8

「おおっ、さすがだ」パーカーはよろこんだ。
レイチェルモンドさんは、険しい顔をしていった。「どうやら、正体を現すようだ」
スパーガオンは倒れたままおきあがった。
気ぐるみからぬけでて起き上がるように。
「ア、アルフレットだ…」クラークは少し前から気絶から覚めていた。
もうひとりのアルフレットは、うやうやしく、アルフレットの近くまで進んだ。
「よろしく!」
オーラで輝くもうひとりに、アルフレットはオーラでガードしながらいった。
「なるほど」すましていたが、奇妙な気持ちになっていた。
握手をしようとしたが、互いのオーラがはじけて、暴風のように光がふきだす。
ビュオオオオー
ガオンからぬけでたほうがいう「おっと、コンセントをショートさせるみたいな話だ。太陽のオーラがふたりぶんも。ブレーカーがさがるな」
「どうやら、そのようだけど。それで?」
「君の敵はこの僕だ。だが、いっておくと僕は強い…」
「そのオーラ…どうやら、偽物じゃないようだけど?」
「アルフレット、おごりたいんだろ!?弱いものを従わせたい。太陽のオーラで…クラーク君なんか自分の下だ。だれだって、自分のいうことをきくぜ。いいなりになる。素敵だろ!?」
そういうとオーラを強めた。
「アルフレット…僕は強いんだ。誰より強い。自分より地位が上の者はいないぜ!?」
「……」
オーラの風でアルフレットはおされはじめた。…片腕をあげてガードした。
グルオオオオオー
そしていった。
「クラーク君…」「なによ!?」「僕は日本文学の教科書に風邪がうつりそうな面子が並んでいるのを見て首をかしげた。アメリカ史もとらなかった。単位は…なんとかごまかせたさ。日本文学の弱音が何の意味があるのかよくわからなかった…彼らは超越していたんだ。僕はただおごりたかっただけのようだ。そして威張る。ケダモノだった…」「だから、そうだってよ」「僕はさらなる高みに躍りあがる」

そういうなり、アルフレットはオーラ全開でパンチを繰り出していた。
ふたりのアルフレットのオーラは以前の1/3の太陽の時のように輝きだした。

9

拳と拳がぶつかるたびに、素粒子の嵐がおきる。
ガンマ線の放出が肉眼で見えるほど加速した。
アルフレットはいう。
「クラーク君、君の実力で僕と同じオーラをもったとしたら…きみはまちがいなく身を滅ぼすだろう。君は階段を一歩一歩、上りたまえ。見ていたまえクラーク君…」
「おめー、全然進歩してねーな、アルフレット」
「もう、ネオアルフレットだ!」
まとったエネルギーのパワーの蹴りが炸裂する。
なみのあいてなら、焼け焦げていただろう。
だが、あいても同じ太陽のオーラをまとう。
高熱の光の塊がとびちる。
ジ…ジ…ジ…ジ…ジ…ゴ・ゴ・ゴ・オオオオー
「ネオアルフレットの必殺技をみたまえ、いままでのアウストロクロスは四方にエネルギーがとびちりすぎた!」
両手前に突き出し、右からのエネルギーが左に流れる。
その流れが極大になったとき、細い光線となりほとばしった。
ガガアガガー
「アウストロセイント」
もう一人のアルフレットは笑っている。
しかし、呪文が空間に書きだされる。
レイチェルモンドさんがさけんだ。
「十絶陣だ!」
ネオアルフレットはアウストロセイントごと陣に飲み込まれた。
そして、もうひとりのアルフレット自体も、光の屑になり消えてしまった。
あとには、もうだれものかわからない笑い声だけがこだましていた。

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