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2012年9月26日水曜日

ダゴン討伐編




ダゴン討伐編



1

クラークは王座に就いた。
祝賀会は行われなかった。
エカルテ国王はしばらくラグナルロクに旅行に旅立った。
王妃はブロームインの王子と結婚し、ブロームインに旅立った。

クラークは考えた。

経済だけじゃないんだ。国の居心地は…
先生がいるとする。
学校のでも、習い事でも…
普段仲の悪いすぐ我慢できなくなる連中が、大人しく過ごす。
先生のまえではケンカできない、でも、足がしびれる。
楽しく過ごせないんだ。
でも、いつもみたいにいがみ合わない。

同僚を面倒みるのか、争うのか、
競争さ、先輩や上司の仕事だ。
面倒を見るのは上手になるのは、
純粋に競っていい。


すぐ、我慢できなくなって、攻撃する人、防衛的な人は、友達ができないんだ。あたりまえだ、嫌われる。
集まりにいると、居心地が悪くなる。
余裕のない人や困った人格いろいろだ。
いっしょにいると、噛みつかれるのを我慢するはめになる。

でも、自分より我慢づよすぎると…足がしびれる。
行儀よすぎると、また居心地が悪くなる。

精神年齢さ、大人になる能力、行儀よくする能力。
これだけあってもダメだ。
争う能力がないとなめられる。
バカにバカにされる。
でも、自分の身を守るだけだと仲間ができない。
下手をすると嫌われ者になるんだ。
マナーが悪い、ただ暴れるだけのバカに見られる。

一匹狼なんか、
才能がありそうに見える。
子分をもてるくらいゆとりがある可能性もあるし、
トントンかもしれない。
最低でも自活してそうにみえるんだ。

それなんだ。
居心地のいいタウン。
ドッコイがどっこいと暮らすとOKか…いや!?



2

(バカにバカにされる…)
ニコニコしながらクラークは顔を両手でなでた。
(誰だって嫌だ…)

偉い人なんかいたら、ありがたいか?
怒られる。怒られていいと思うときもある。
ありがたい。
でも、あんまり怒られると嫌気がさすんだ。
大概の人は、偉い人がいると有難迷惑さ。
それでいて上司の悪口を言う…。
「ちゃんとした上司が欲しい」


なにかあるとやり返すことばかり考えてる連中がいる。いくらでもいる。
まっとうな説教でも、注意でも、やり返すことを考えている。
少しも我慢できない。すぐやり返す。
道理が正しいか理解できない。
そういう連中は楽しく暮らせないのさ。
仲間もできない。
年中逆恨みして、もらしてる。
楽しいのか…?あんなんで。
あまり考えたくはないが…そういう連中は平和な国にもう生まれ変われないのでは……?なんか、そんなきがしないでもない。子供を産んでおいて不幸にする親も、そういう国に…?

民間企業が居心地のいい空間をサービスしたら、なんかけばい。
だが、政治家や国王ならそれがもちろん仕事だ。
学校でも、家庭でも、会社でも、
人が過ごす。
仲のいい空間。
安心して、安全。信頼が人を支配している。


勝手なやつが自分がリーダーだって、いばると
みんな迷惑してクレームがくる。
「なに、あいつ勝手に威張ってるんだ!?」
となる。
オレなんか、投票で選ばれたんじゃなくて、
エカルテ王が推薦しただけでイスに座ってる。
国民が不満になったらたちまち叩かれる。

クラークはまた、顔をなでた。
「ちょっと顔をあらってくる」
ニコニコした顔で洗面所に行く。


王様なんて、さっきまで暴言はかれて、人間に嫌気がさしたかとおもえば、次の瞬間、べたぼめにされるんだ。

ジャブジャブ洗面して鏡を見た。



3


クラークは思った。
人間、四民平等なんて説くずれる。
集団や組織をまとめるのにちょうどいい位のひとがいるもんなんだ。
社長、役員、部長、課長、平。

三段跳びの地位のひとなんて、足がしびれて不評になる。
「もっと上の上司の方が話がわかっていい」
そう思う人もいるさ。
ところが、そうじゃない。足がしびれる。
立場の違う人の中でやったら、冷たい目で見られて罰の悪い思いする。
場違いなんだ。

クラークはニコニコした顔で首をゆっくり振った。
ひとつ上のほうが説得力がある。
うまくまとめられるんだ。

いっこ上とか下とか、下品な話になるが…
地位がどうのと弊害のあることだが、
結婚でもそうだ。
ありがたい相手なんて、女は足がしびれて、結局冷たい言葉をはいて、さよならになるのさ。
大事にしたはずなのに、冷たくされるなんて、と罰の悪い思いする。
向こうにしたら、暑苦しくて、はらわた煮えくり返るんだ。
プライドも損なう。自分はいい女という自負が粉々にされるんだ。
それを考えると平等教育なんて大間違いだ。
普段自分の夫を蹴飛ばしてるけど、ちょうどいいんだ。

クラークはニコニコしながら、頭に手をやった。

懐柔しようとする女も徒労に終わる。
ホントはいい女でもないのにごまかしてる証拠だからだ。
骨抜きにしようとして、うまくいかないから、結局はらわた煮たてて、お陀仏なんだ。

ひとつ上か一個下かでないと、人間付き合えない。

そこまで考えてクラークは
「明日から、エカルテコインはみんな友達だから、無礼講で楽しくいこう」
と国王宣言するのをやめることにした。

さて、それで平和で幸福な国はどうすれば…

付き合えるフレンドには制限があると思う。
みんななかよくとか、大局的に嘘だ。
それじゃあ、楽しいタウンは…?



4


パーカーが惑星エジオンからの電話をうけとった。
「なに!?エジオンがダゴンに侵略された!?」
レイチェルモンドが一人で闘っていたが、とうとう侵略されたという。
宇宙コウモリと違い、バリアで防げない。
何気ない顔をして溶け込むのが、ダゴン、ツアドガ、インスマスの魚人類の得意技だ。

カーターとワトソンも地球からエジオンに討伐に向かうという。
パーカーはアルフレットをたたきおこした。
「ダゴン討伐だ!おきろ!アルフレット!」

クラークは考えていた。

良くしようと努力しただけで、よくなるほど国家は単純じゃない。
奥が深いんだ。
国民を働かせる。経済が実る。だけど、ギスギスするかもしれない。
ひとによって労働の適量が違う。

苦しく働けば、事実、楽しみが買える。

だけど、苦しさを我慢して努力すると、圧迫感のある国になる。
かならず脱落者が出る。
我慢できない。精神的にだ。精神的苦痛には耐えれるレベルがある。
金持ちほどストレスに耐えてるのが現実だ。

すこしも、我慢できない、おりこうさんもいるのが国家なんだ。

我慢の量を増やせば、単純に楽しみも買えるが、それでいいのか……?

クラークはつくえにほおずえをついた。
ニコニコしながら作戦を考えていた。

技術革新は生活を楽にした。
たぶんそうだ。
SLのおかげで、早く移動できるし、大量に荷物を運べる。
でも、人間は楽になりすぎて堕落したか?
そうはいえない。
ほかの労働がなくならないだろう。

国民を鍛えてやるなんて、大口叩いたら、憎まれるだろうな。
楽しく楽しくといって、国が弱体化したら…?
やはり叩かれる。
やはり“敵度”か…?

“楽しく鍛える”にも問題がある。
それ自体有難迷惑でもあるんだ。自分でそう思ったことがある。
クラークは足をバタバタさせていた。

清貧が好きな国民もいる。
働いて裕福になるより、ゆとりでのんびり。
人生、金じゃない。
娯楽を追いかける狩人なんてみっともないかもしれないしな。

クラークは葉巻に火をつけ吸いだした。

教育だけど、手とり足とりだと、へたな型をおしつける。
その子供にあったやり方がある。
勝手に練習させて、自分のオリジナルを磨かせるのか?
芸術の授業は勝手に絵を描くだけだった。
絵の描き方を教わったことなんてなかったな。
音楽も、ノウハウとかコツは教わらなかったし、
勉強も、ノートに何を書くのか書かないのか、
教科書の正確な使い方とか、以外に誰も教えなかったな。
自分のやりやすいようやりなさいということなのか。

煙をはいて、ロウソクの明かりで古い本を開いて見た。

意外と多いのが、“自分はあれだけしてあげた”他人のためにつくした。
見返りがあるはずと思うと、恨みのつもったひきつった顔で睨まれる。
相手にしたら余計なお世話どころか、迷惑千万、バカ一番だった。
そんなオチだ。
だから僕はおもっている。
自分の心を見て、相手の歓びを推測したら外れるよ!
相手の反応をよく見ろ!
あいては無理して痩せ我慢してありがたいふりしてないか!?
自分の商品(相手に対するサービス)は本当に売れているかい!?
自分の指導がありがたいほど、自分が偉いなら、自分の会社をつくったら、間違いなく売れるよ?違うかい。
犯人前(半人前)はまず、自分を統率していろ!人を指導するな!
´´まずい。…僕は半人前なのに、人を指導する立場だ。
クラークはニコニコした顔でくびをふった。

言われる。
自分をしつけて、お手本にならなきゃ。
だけど、それはシンドイ。
磔になられたイエス・キリストになってしまう´´

それに、偉い人が、失敗したりすると、意外と国民は安心したりする。
自分も少しは気楽にしてもいいんだ。
リラックスしてもいいんだと。

女性の指導の仕方は、意外と相方の男の受け継ぎだったりする。
教える男がいないやもめ、は自分で考えるのか新聞や本のやり方なのか、男性思考を勘違いしていることが多いのが事実だ。
じゃあ、国はどうするんだ!?
対策なんて思いつかないぞ´´


幸福な愛情ある一般家庭が多いのが理想だ。
そういう家族からはやはり、平和な家庭を作る人ができやすい。
その連鎖だ。
崩壊した家族からはその連鎖が生まれる。
虐待とかやだ。
犯罪者が増えるのが現実だろうな。
取り締まるだけじゃなく、暖かい家庭を創りやすい政策か…
むずかしいな。

アルフレットは戦闘衣に着替えながらいった。
「クラークはどうする!?」
「やつは暫定国王だ。置いていくだろう。コインメタトリーの連絡と援助を期待する」
「ダゴンは強いのか?」
「魚人のボスだ」




5

パーカーは、「クラークには宇宙船の中からメールする」といって、黙って置いていった。

クラークは顔をさすりながら、ニコニコして考えた。

叩かれる…うまくいっても叩かれるんだ。
一方の見方をすると反対が怒る。
かならず、みんな同じ方向にならないから、おいてけぼりの連中がキレるんだ。
シャンシャンにならない…
かといって、みんな右ならえだと、偏った世論になる。
異変に誰も気づかないで全滅だ。
反対派の人は必要なんだ。滑り止めみたいな効果がある。

国民が文句をいったとき仲間がいるといい。
「あんた、文句垂れる国民の側じゃなくて統率者の側だよ」「なんだかなー」となる…

文句をこらえてるやつらに気づいたら…怖い。連中は不平不満をこらえてる。目が獣になってるんだ。

首を振りながら、ニコニコした。

国王一人だけ取り残される。……国民に総スカンを喰らったら、だから恐怖政治の奴らをみると、恐ろしくないのか不思議だ。
いざとなったら、死ぬ覚悟なんだろうか…?
怖いのは鈍い奴らだ。気がついたら、周りの人間すべてに憎まれる。
肩身が狭くないのか…たわいのない奴なんか、対して気にとめないからいい。でも、国王とか一度スカンを喰らうと、死ぬ以外、肩身が狭いまま暮すことになるんだぞ。

クラークは鳥肌が立ってきた。

ネットとか生き物なんだ。
なまの…
ミニカーとかプラモデルは動かない。
動くおもちゃの車は「生きてる」と感じた。
時計も動く。
植物なんか育てると、動かないものに比べ変化するんだ。
ネットなんか、人間社会の生の現象がうごいている。
それが魅力あるんだ。
完成された映画のテープは固定されている。
美しく完成していても。
編集されているのが映画だ。
ネットは変化して成長する。
種から芽が出て、花が咲く。
建物が建築され、本当に買い物できる。
互いに挨拶している。




6

アルセウスとアラン(ゴールド・ウィンのバトルハウスで試合した男)もダゴン討伐に加わると宇宙船にのってきた。
アルフレットがいった。
「エドガーさんはクラークの補佐としてエカルテにのこるみたいだけど!?」
「軍長から、許可はもらってきた。ライト正宗で協力する」
アランがいった。
「もう一人協力者が来てる」
バズオーンと名乗る男だった。
「能力はテレパシー。ウィザードの修行をして生きてきた」
マントをつけ、顔もフードでおおわれている。見るからに呪術師といういでたちだ。

パーカーがいった。
「では、ダゴンの様子がわかるんだな」
「私が全知全能だったら、あなたはすでに首が飛んでるだろう」
「……」
「勘違いされては困るが、そこまでの能力など私にない。テレパシーによる予知など、せいぜい二日後くらいを星占いのレベルで予知できる程度だ。念写の能力も虫の知らせがなんとなくある程度のものなのだ。はっきりいってインターネットやメールで調べたり通信したほうが早いし、正確だ」
「それではダメだな」
「だが、ふたつだけわかる。こちらの金髪の男。彼なら修行しだいでテレパシーの能力が私より強いだろう。それと、ダゴンの気配がかんじられないきがする」
「……虫の知らせか」
「さよう。かくれているのか、無人の活動が行われない世界を感じる」

アルフレットがいった。
「ふーん。テレパシーね」
そういうと両手を広げ、ラジオ電波程度のオーラを弱めたものをとばした。

フワワワーン

「どうだ?」
「あたりまえだけど、エジオンが遠い…ダゴンの生息する気を感じないな」
「半径100kmか…」
「いや100mが限界だ」
「……」


バズオーンが助言した。
「自分の気をとばして探知するのもいいが…相手の気を読んでみろ」
「なるほど」

TVは放送局が遠くでもうつる。放送局が強い電波をおくっているから、その電波をキャッチするだけでいい。
携帯電話は…相互に通信する。電話の電池の弱い電力だと、放つ電波は近くに電波塔がないと、通信できなくなる。ラジコン。ラジオコントロールカー。電波で操縦する模型自動車。あれも電池の電波なので近距離までしかコントロールできない。


(ダゴンのオーラをつかんでみる…)
アルフレットは体を受信用アンテナとして、瞑想した。
「感じるぞ……だがエジオンから感じない…近くだ…微弱な気を放っている。だが、どういうことだ?」
パーカーはレーダーを映してみた。
「小惑星だ!あれにインスマス達がのっている」



7


バズオーンがいう。
「脳の神経伝達物質や神経。ドーパミン神経、アセチルコリン神経、セロトニン神経。鍛えると強くなる。
麻薬や覚せい剤、酒、たばこなど飲むと、確かに神経伝達物質が一時的に放出される。だが、たとえば
鍛えていない腕で100Kgの重りを持ち上げたら…!?壊れる。神経をマヒさせて、無理させているようなものなのだ。
だが、鍛えて筋肉のある腕なら、持ち上げても壊れない。
神経もそうだ。
勉強、運動、作業などの仕事、使って鍛えると病的ではなく鍛えらさる。
それが精神力だ。
とくに、人を統率する仕事は、思考力も鍛え、判断力、さらに注意するんでも叱るのでも、恐怖と闘う。脳を酷使して神経をタフに鍛えるのだ。
リーダーなど、そんなかんじだろう?
釈迦のように涅槃にいたるほど、悟ったものは、例えが悪いが、昼間から酔わずに酒に酔うようなものなのだ。
逆に鬱病のように苦しんでいる者もいる。脳の機械的(器質的)な問題なら医療だが…なにか、習い事でも勉強でもトレーニングでメンタルが強くなる可能性もある。(無理なケースもあります)
神経がタフに鍛えた人は、喫煙による快感が一般人より強い。
エネルギーがもともとない人は、吸っても限りがある。
実は頑張ったオマケみたいなものだと考えている。
なんでもないとき、上機嫌でいられるようになる。
稽古中のものや、修行の浅いものなど、イライラして過ごすことがおい。戦っている問題が強敵の時は仕方ないことだが…
アルフレット、そなたは、才能に恵まれている。そのオーラだが、弱点は底をつきやすいことだろう」
「ぐ´´、この野郎。僕にメンタルを鍛えろという気か」
パーカーが操縦しながらいった。
「そうだ、アルフレットはメンタルを鍛えろ。お客さんだ」

隕石から飛びたち、襲ってくる、宇宙仕様のインスマス。

アランがいった。
「スペースインスマスか」
パーカーがいう。
「どうする!?そと(宇宙)で闘うのか!?」
「まさか、宇宙船の中に正体はできないな」
バズオーンがいう。




8


「戦闘タイプの宇宙服がある」そういってパーカーはリモコンで倉庫からロボットに運ばせた。

アランがいった。
「王から、買ってもらった、ゴールドエクスカリバーだ。これが私の新しい武器だ。アルフレット、君用にはこれだ、『アウトセーバー』わたしは君のように落ち着き払って戦うだけの経験がまだない。君がとりみだした時、代わりに私が落ち着いていよう」
「アウトセーバーね。電磁剣じゃないみたいだけど…?」
「スコットランドを知ってるか…?アルフレット、地球という惑星だ」
「地球ね…」
「そこの土地のクレイモアという両刃剣、あれを改良した。鍔が変わった形をしているだろ」
「なるほど、防御に使えそうだな」
「それだけじゃない、鍔から斜めに飛び出た二つの出っ張りは飾りじゃなくて、肉厚の刀身になってる。触るときは気をつけろ」
「鞘がないわけか」

アルセウスがいった。
「いくぞ、オレはアルセウス2だ」

アルセウス、アルフレット、アランの三人が宇宙に飛び出した。
「やつらは、無重力空間を飛べるらしいが…おれたちは?」
「足場ではねろ、そのまま飛び続ける」
「なるほど」

宇宙船の中ではバズオーンとパーカーが会話していた。
バズオーンがいう。
「私はウィザードとして、現実に常に向き合ってきた。それと空想することとは違う。イメージを拡大することと、現実から逃避することは…だから私は、できもしない絵空事ができないと笑われても恥ずかしくない。“マジシャンなのにそんなものか”とな。現実から逃げるには人に任せるという方法がある。牛や豚を屠殺のは、人は嫌がるものだ。だが肉は食べる。肉屋から買うなら抵抗はないな。王でも騎士でも、商人でも、向きあうのは自分の職業であとは人に任せる。金で買う。それでいい」

「政治家がいいそうだ。現実の問題を克服できない。マンガじゃないんだ」

「私にはできないことがある。現実と向き合う私には他人の揶揄する声など効果はない。テレパシーなど、そこからはじまる。絵空事と現実の境界に取り組む。現実が相手だ。うまく勝てない、宇宙法則がおかしいと僻んでも勝てない。だから、少しでも塩梅のいいすべを探る。人に任せる連中は文句しか言わない。現実を知らないから無理な手を打つ。新米なら許される。“まだ初心者には分からないさ。ゆっくりやりたまえ”だが、延々と人任せに生きると無知な輩と思われる。私の自負は面白みのない現実と戦ってきた気概だ。カビ臭い本を読んで何が面白い!?面白くないさ。現実だからだ」

「せめて、同じくらい現実と向き合っていないと、せいぜい客と支配人の関係になる。話が通じる相手ではないな」

「それぞれの職業に置いて」





9

インスマスが見えてきた。
アルセウスがいった。
「向こうは5体くらいいる。アルセウス2が必ず二体たおす!」
腕と足に黒いエナメルのような艶のこてのような覆いがある。
スペースインスマスは催眠電磁波をおくってきた。

ガガガガピー
「うっ!
アランが催眠電波を喰らい、頭を押さえる。

「キゴ?ギイイ・ギギギξ☎Χ#&!!
狂った、アランはゴールドエクスカリバーをアルセウスにむかって斬りつけた。
「どあ!?」アルセウスはよけたが、おどろいていった。
「催眠術か…味方と斬りあうわけにはいかないな」

アルフレットがいった。
「おとなしくなるよう。ソフトに眠らせろ!!
「ライト正宗でか?」
「俺がやる」
アルフレットはオーラを軽くぶつけ、アランを気絶させようとした。

ボフ

!?ぐっ」
予想を超える力でアランはゴールドエクスカリバーをたたきつけてきた。
「なっ!?」
アウトセーバーでうけたが、「キゴ?ギイイ・ギギギξ☎Χ#&!!」とわめいている。
「くそ!奇声を発するな!!



ブロームインではエカルテ王女を迎えての結婚の宴が行われていた。

ブロームインの王が盃をもちあげていう。
王は王座に座り、両端から列をつくって一同が並ぶ。

王は結婚式の当のブロームインの王子にいった。
「´格闘技のみせものも、楽士の旋律もあきたな…。どうだ?即位はまだだが、結婚の儀の証になにか、余興を思いつかんか?」



10


王子は酒の杯を置くと答えた。
「ハイ。それなら、私自ら武具をとって雷鳥をいけどりにでかけましょう」
「な…に!? 伝説のサンダーバードを?!………だが、せっかく婚礼したばかりに命を落とすぞ!?姫よいのか」

エカルテから来た王女は答えた。
「はい。わたくしは…」

「父上、あの雷鳥の秘密を教えてください。コインメカトリーは四つの円盤の浮遊世界です。あのような雷鳥はどこから来たのですか…」





「…、あの雷鳥は神であるとも、神の使いだともいわれている。ときおりブロームインの上空を舞うが……人をさらって喰うこともある。豊作や経済を安定させるといわれるが…この浮遊大陸がブロームイン、ゴールド・ウィン、エカルテコインのみっつしかなかったころ、宇宙の外より来訪したと伝わる」
婚礼の主人公の一人、王女が訪ねた。
「ラグナルロクはまだなかったのですか」
「そうだ…あそこが一番あとになってできた。それそれの国の民族は自国の歴史しか知らぬものだ…よその国には干渉しない決まりで動いてきたからな。そのほうが自分たちの居心地の良い国に独自に発展する。私も王でなければ知らなかっただろうな」

来賓の客にエカルテの王は見えなかった。
彼はラグナルロクを遊来している。
客の一人がいった。
「めずらしいお話をきけて、余興として最適でした。王子が危険にさらし、婚礼を血で染めませんように」



11

ブロームインの王子ザールがいった。
「勝算は御座います」そういうと、使いのものに合図した。

使いの者が持ってきたのは、見事な剣と兜だった。

ブローム王は聞いた。
「´…それは?」
「神の武具にございます」



宇宙戦艦の中でパーカーはアルフレットたちの戦いを見ていた。
必要に応じて、援護する。
だが、催眠術でアランが混乱しているとは気付かなかった。
パーカーはバズオーンと会話していた。
「人類の文明が結構発達していたころ、まだ、生き残りの恐竜がいたという説がある。飼っていたとさえいわれるが、竜退治の物語などここから来ているという」
「恐竜の研究か…私の師匠がそれに関して文献を持っていたようだが…」
「竜退治と称して、ほとんど、絶滅したんじゃないかと思っている」



ザールはいった。
「竜神ガルルルゴンより授かった神剣であります」
「ガルルルゴン?」
「ブロームインの入口エアポートでたたずんでいたときのこと、竜神がやってまいりました。これで雷鳥をたおせとさずけられたのです」

「…ザールよ、おまえはその竜神の正体がわかっているのか!?何者かわからないのに、たぶらかされているのかもしれん…」
ザールは剣をわずかに抜いて刀身を見せた。
「なに、雷鳥と同じに、異星の生き物、神に非ずと存じます」

そういうと、生きた牛をつれてこさせた。
そして、座から離れたところで、神剣をとった。
「切れ味をごらんいれましょう」
素早い動作でザールは剣を抜くと、まるでカウボーイが縄を頭上で回転させるように振りまわし、打ちおろす。牛の首をはねた。

ザシ!

一同、あっけにとられ、声も出なかったが、牛の首が落ちている。が、血がほとんど落ちない。

ややおくれて、感嘆の声が漏れる。
「おおお」

ブロームインの国王はいった。
「牛を吊るして、丸焼きにせよ」
料理人たちがやってきて、縛り、火を燃やして丸焼きにしはじめた。











ザールの妹が王女にいった。
「おねえさま、牛の丸焼き、御馳走さまでございます。ですが、あの兄は血の気が多いところがありまして。妹の私が何ですが、あやしげな竜神などとつながり、雷鳥をいけどるなど、大口を。おねえさまも止めたほうがよろしいかと」

客席はにぎやかに、喜んでいる。
丸焼きの匂いは、香ばしく。香辛料をふんだんにつかった焼き肉が食べられる。王子の勇ましさも、客たちに安心感を持たせた。
(ブロームインは次の代でも安心だ。エカルテの王女と婚姻したし、王子は勇敢そうだし、大規模な建築がはじまり、仕事にめぐまれている)




12


ブロームイン王は牛がやけると、肉を調理させ、運んでこさせた。
「それと、ワシからのめでたい婚礼の贈り物だ。シリウス星の水をとかした飲み物、怪我や病を治す薬をザールにわたそう。貴重品で手にはいらん。サンダーバードをとらえるのを止めんが、生きて帰って来い。
酒にこのエッセンスを一滴垂らすと、めったに飲めない味わいになる。
一同にふるまおうではないか」

飲んでみると、酒の味と、喉がからからになったときの真水の味がする。それから、汗をかいて、塩分がぬけたときの、塩辛いスープの美味しさも。

ザールは考えた。
(シリウス星…あそこは恒星で燃え盛り、水などないのでは…)

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