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2012年11月20日火曜日

太陽をこえし戦士たちの眠り






陽をこえし士たち



1


惑星エジオン


アルセウスがライト正宗の電源を入れた。
ビームの刀身がとびでる。

アランがみていった。
「どこから手に入れたんだ。どこにも売ってないぞ。エカルテの電磁クラブおそってまで、手に入れたんだな」
「なんで私が電磁クラブをおそわないとないのかわからない。これは軍の大会に皆勤賞で授かった剣だ」
「優勝とかじゃなくてか?」
「よけいなおせわだ。お前なんか私に勝てない、エカルテの軍隊だと中の下だ」
「なんだと!ライト正宗をよこせ」

パーカーがうるさそうにいった。
「やめろ、バトルメカ相手に訓練しろ!レイチェルモンドがつくって倉庫にまだある。俺は彼女とミニミニパーティでやるスゴロクをつくっているんだ」

アルセウスがいった。
「なんだ、パーカー酒飲みながらスゴロクか…自分の番来るまで手ぶらだから楽なんだろ」
「うるさい。疲れるけど、なにもしないと退屈するたちなんだ。あまりエネルギーがあまってると嫁をもらわせて、大人しくさせるぞ」
「やめろ、軍を抜けたのはそれが嫌だったんだ」
アランがいった。
「バックギャモン(西洋すごろく)にしろよ」
「バックギャモンは嫌いなんだ。シンプルすぎる」



エカルテ・コインの国王の事務室


クラークは送られてきたメールの書類を読んでいた。
ラグナクロクのロボットメーカーからで、電磁クラブと共同で特注の製品を造らないかということだった。
ラグナクロクの国王も、モンスターの襲撃を警戒して戦闘マシーンを開発したいと押している。
エカルテから出資すると実現するという。

1.  時空警察をこえる、エンタルピー砲搭載、自動追跡ボゾンミサイル4基、ギブズの自由エネルギー銃、テレポート機能あり
AI自働戦闘機  7クラウン

2.  インターネット上のデジタルデータを吸収解析し、人工知能を高めるマザーコンピュータ型戦闘メカ
人工知能搭載型バトルマシーン・アーレス  8クラウン

「7クラウンか、オートクチュールよりたかいな(3クラウン)。エカルテとラグナクロク共同で軍事的にモンスターから街を守る計画か…本体がこの値段で各機関砲や機能は別売?」

突然画面がジャックされた。

「お?ウイルスか」

みると太陽の中でアルフレットが眠っている。
腕を水平に広げ、目をつぶっている。

≪クラーク君……僕は戦いに敗れ体をうしなった、体を再生するためにこの恒星のエネルギーを吸いつくすまで眠りにつく……留守をよろしく頼む…≫

「アルフレット…おめー他人のエリアのエントロピー消費しつくすなよ」




2

エジオンではパーカーが仕事をしていた。
突然空からでかい球状の塊が落ちてきた。

「なんだ!?レイチェルモンドにつなげ!」
モニターは回線をつないだ。
ややあって応答した。
「どうも惑星ダゴンからおくられてきた、生体兵器です」

写真が送信されてきた。
「蟹の触手がうねっている…それにたこのような体に、殻がついて、いかにも魚介類のダゴンのしもべだ!敵の真意は?」

「なんのメッセージもありません。惑星ダゴンが定位置に確認できない」


エカルテ城

クラークがエドガーと秘書猫とはなしていた。
「自分たちがよ、制圧されてる状態だと、レジスタンスきどりで、力をためるんだな」
「ほう」そういってエドガーは下を見た。
「俺たちそこまで、制限された身分じゃねーからな。でも巨大権力者のつもりも間違いだ」
「まあ、そうですね」
「それで、エアポートによその惑星から船来てるか」
「前より増えてますね。うなぎのぼりまでいかない…」
「特産品売れるか、水素ガスと酸素ガスも」
エドガーのスマホに通信が入り、エドガーは王室の隅にいった。
「売れてますが、燃料補給にですね。だけど、すぐ売り切れて、利益も少し」
「自分たちで消費してしまうからな。仕事とくにないとき、楽しみの計画すすめような」
「ですね」


エドガーがもどってきた。表情が硬い。
「クラーク王ゴールド・ウィンに惑星ダゴンからとおもわれる、タコだかイカの生体兵器がふってきたそうです。援軍を送りますか」

「ゴールド・ウィン?どうするって、同盟国だし……向こうの国王と通信は?」
「現場が混乱して、迷惑でしょう」
「そうか…援軍を見つくろって待機だけさせてくれ」

「わかった」
そういってエドガーは軍の司令室に出かけた。



3


地球―カリフォルニア州


カリフォルニア。名前の由来は“楽園に近い島”
海岸がある。


カーターの会社はアメリカ軍とソフトウェアプログラム会社の仲介のしごとにはいっていた。

カーターが会議で発言する。
「つまり政府は特定の機能を持つソフトがいくつも、必要な時連動できるシステムを開発してほしいと」
「わが軍は営利企業でないので特注の機械をつくってもらえばいい」
「つまり、あるプランをたてたとき、それを補佐し、記録してあとから百科辞書のように扱える。民間企業でも使える機材がいいと」
「司令室ではソフトを扱うのは人間で、操作が肝心だ。データが一か所に蓄積できるといい。視覚的に見やすく思考しやすい、画面表示だ」
「百科辞書アプリから、必要なテーマをきりだし、ニュースサイトからもあつめ、個人のデータベースの蓄積からひっぱって、あつめてくるんですね。地図とかも」

「軍の機密は非公開だが、軍が作戦を立てるとき、引っ張ってこれればいい。書きこんだ一群のデータも保存して…」

カーターがいった。
「つまり、学生の就職活動だと、目的地の地図数枚、電車の路線、時間割、メモ、電話番号、住所、履歴書、エントリーシートなど、連続表示で閲覧したい。
夏休みの遊びのプランはまた、一群にまとめて…
それぞれ、ソフトが違うが…」
「ネットはどうなんですか」
「取捨選択にてまどる」
「紙のスケジュール手帳だと、時系列に並べれる」


そのとき、空からカリフォルニア州に物体が降ってきた。

「モンスターの襲撃だ。衛星写真を映します」
「蟹とイカ星人だ」
「ああいうのだ。データベースとネットや辞書アプリから関連情報を自動で収拾できないのか?」

「昔のSFマンガにでてくる間違ったパソコンのイメージですね」

ソフト会社のプログラマーが会議を聴きながら制作した試用ソフトに画像とコメントを放り込んだ。

「いま、できたばかりの試用ソフトに放り込んでテストします」

≪海岸があるからカリフォルニア州を狙ったのではないか。魚介類=海≫
≪ダゴン?≫
≪半魚人なんて肺呼吸なら海で暮らせない≫

軍人がいった。
「考えるのか?思考して判断した?」
「いや、思考ルーチンはそんな簡単では…ネット上のつぶやきからひろって」
「なるほど」
「試作ソフトでは簡単な思考ルーチンと検索のクローラーロボットみたいな」

さらに過去ニュースから、オレゴン州がインスマスの襲撃頻度が高いのが表示された。
地図が表示され、オレゴン州の南にカリフォルニア州があるのを二点を強調した地図がでた。

「よし、それを開発してくれ。コンピュータ本体ごと…民間用は軍事用と別に売っていい」

カーターがいった。
「軍を配備しなくていいのですか?」
「それは、本部の仕事だ。わたしたちは会議だけでいい」
「そうか…」

「上層部が時空警察から得た情報では…ターゲットのネームはガイロス。よそうどうり惑星ダゴンからと思われると…」
「カーター氏、君に軍から協力の要請が来ている。君はスーパーマンか?」
「いや、剣が達者で…」



4

パーカーは地球に連絡していた。
「ああ、それと…アランとアルセウスに迎撃に向かわせる。レイチェルモンドは情報を探らなきゃないな…あのふたりでか…クラークもアルフレットもいない。地球でも同じガイロスが襲ってきてるという。クラークにも連絡をする!」

レイチェルモンドが通信してきた。
「パーカーさん、あせらないで…エジオンには軍人は私しかいない。基本、あとはメカです。完全自動操縦の戦車を…」

アルセウスが、連絡を受けて出動した。
「来た。戦いの時だ。」
アランもゴールドエクスカリバーをもった。
「ガイロスか…デカ物のモンスターだ」

軟体生物の皮膚は意外と頑丈だ。

アルセウスがライト正宗をうった。
「二段ぎりの新型!二段ぎりX」
右手で斬りつけ、左に持ちかえ、Xに切りつける。

反対の腕の筋肉は、斬りつけた直後、疲労してないので、連続して最大のダメージを与えられる。

巨大な軟体生物のはじっこを斬りつけた感じだ。
透明の液体が斬り口からふきだす。
ごぼごぼいっている。
蟹の触手が数本伸びてくる。

「ライト正宗!」

アランもゴールドエクスカリバーを斬りつける。
ガイロスは動かないのでダメージはある。がでかいので効果が感じられない。

「くそ、近代兵器のほうがてっとりばやいのか?」

「そんなこというな。なんのために私たちがいるんだ」

ガイロスは毒ぎりを発した。
「くそ、くるしくてうごけなくなるぞ」
そのとき全自動戦車がきた。

ドン! 210
つぎつぎ大砲をうつ。

だがでかい触手が生え、丸太が落ちてくるように戦車に叩きつけ、壊した。
アルセウスは「触手だ!今助ければ、戦車はまだ動く!」
そういって、倒れた丸太のような触手を必死に斬りつけた。

「でかすぎるぞ。オレにはオーラがない」
皮膚にゴールドエクスカリバーを突き刺したが、反応が鈍い。
蟹の触手がのびて襲う。
アランの足に喰いつく。
「うお!?」
右手にもかみつかれた。
反対の手で斬り落とす。
筒のような触手が墨をはいた。
「うお?」
紫の煙をはきだす、あめ降らしの様な触手も襲ってきた。
アランは大ダメージをおった。
「酸だ!普通のあめ降らしは、煙幕だけのはずだった。こいつのは毒と酸がある!」
次々遠慮なくチューブのような触手が伸びて、墨やら、酸やら、インクやら、毒ガスやらをはいてくる。
アランは斬りつけながら、ポケットをさぐった。
「エジオン製の超高密度手溜弾だ!」
そう言って、敵の上部に投げつけた。

DOMM 230

触手は焼け焦げてちじれくずれる。
そこに斬りこんだが、スコップででかい砂山に突き刺したようだった。

アルセウスは戦況をパーカーに伝えた。
「埒が明かないぞ、パーカー…。巨体すぎて剣じゃとても」

パーカーはエジオンの基地できいていたが、
「どうする…?くそ!作戦がない…もうしばらく耐えてくれ」
「わかった」

戦車が連続して大砲を撃った。
ガイロスの軟体生物の皮膚が焦げて、異臭を発する。
だが、海水の渦をはきつけ、戦車はショートしたり、コントロールをうしなったりした。
5


コインメタトリーーブロームイン


ブロームイン王たちは王の広間の壁に埋め込まれたモニターをみて会議を開いていた。

「ザール…おまえならどうする?ゴールド・ウィンは四国(よんこく)の同盟国だ。ガイロスとかいう巨体モンスターに襲われている」
ザールはやや考えていたが答えた。
「ゴールド・ウィン軍が劣勢になるかSOSを送ってきたら、援軍を送ります…こちらに敵が向かうともあり得ない」

王はいった。
「向こうの国はビームライフルやミサイルなどの兵器が強い。耐熱剣もそろっている。我が国の軍は魔法と剣の国だ」

ザール王子は答えた。
「近代兵器がもし、不発なら、こちらの術が有効かもしれません…」



コインメタトリーーエカルテ・コイン

クラークは王座で情報をうかがっていた。

と…アルフレットの声がきこえた。
≪クラーク…ぼくだ。アルフレットだ。ぼくは体を再生するまで動けない…扉の巨人だ…彼を呼び覚ませ…彼なら戦力として大きい≫

「だけど、そのあとでふんじばれねーぞ」
≪ぼくがその時は復活して、彼を牢に押し戻す…≫

「…温情とかねーのか…」

ゴールド・ウィンでは、兵士がストロービームを打ちまくり、ダメージを与えていた。
エジオンの戦況と似ている。

兵士が疲れると、さがらせ、遠くからミサイルを打つ。
ダメージはあるがタフだった。

ゴールドウィン王はクラークからの連絡を受けて、「…危険ですがやってみましょう」といった。

地獄の牢の扉が開かれた。

巨人はあぐらをかいて、瞑想していた。
「でろ…、お前に依頼したいことがある…」
厳重に軍隊がかこみ、彼を外に出した。

「予想していたぞ…気配を感じたからな…」
ニヤとわらって立ち上がった。

巨人は条件として、体をオーバーホールしろと言ってきた。
建築現場の様な足場が組まれ、技術者が巨人の体にメカのバトルパーツを埋め込む。
「傷ついたからだをパーツで補え…左目も切り裂かれ見えん。心臓のかわりにエンジンを組み込め…」
技師はいう。
「動くなよ…だがいいのか?サイボーグのような体になるぞ」
「かまわん…我が体は不死だ。体が回復すれば機械の部品はしぜんと脱落する」
「武器も仕込んだ」




6


地球―カリフォルニア州


カーターのライオンソードでの戦いが始まる。
ガイロスの触手をモードを複数に設定したライオンソードで斬る。

跳躍してかわし、剣を振る。それで敵のあちこちが切れる。
透明の液体が傷口からながれる。
ガイロスはチューブを海岸に伸ばし、海水を吸っている。

(敵はのろい…軽くかわして、剣で攻撃はできるが…致命傷をどうにかして…)

「カーター殿!はなれろ!」
アメリカ軍のミサイルがとぶ!

ミサイル  2869

地球のガイロスはばっくり、削れ、なかに果物のタネのように核が見える。

「うに(寿司とかの)みたいだ!あれを!」
カーターはとびこんだ!

触手が複数伸びて、編みかごのようにカーターを囲んだ。
「…………!」

酸の雨がスプリンクラーのようにふってきた。

ざー

「!まずい」
ライオンソードのアクセルをふかすと、囲んでいる触手をぶつ切りにした。

核からうにの棘のが霰のように飛んでくる。
ズガズガズガズガズガズガ
「が!」

カーターは体中に刺さり、たおれた。
「カーター殿!」
救出され、救急車で病院に運ばれた。

ミサイル 3621

ガイロスは核まで削れ、煙をあげて動かなくなった。
軍はエジオンにそれを報告した。

エジオン

パーカーが地球からの連絡をもらい。
「やつが地球のと同じなら、アルセウスなんとかできるか?核まで破壊しろ!」

「核か…戦車の大砲でも表面が焦げるだけだぞ!エジオンはその星(地球)の兵器より弱いのか?」

「そうか!エジオン砲をつかえ!」

レイチェルモンドがいった。
「一発しかありません。貴重な品で、弾ひとつ半年かかる。費用も時間も」
「許可する…」

GA-GARAGRAGARAGRA

エジオン砲 4312

バガン!


ガイロスの核がみえる。

「よし!アランいくぞ!」
「おう」

「アルセウス!棘を撃ってくるぞ!きをつけろ」
だが、ふたりはスマホの音をききもらした。

ドドドドドド・ドドドドドド・ドドド


アルセウスは跳躍してかわそうとした。
が、上からカニのはさみが襲う。
「ライト正宗!」
触手をぶちぎったが、棘がおそってきた。
ザザザアアク
「があは」
アルセウスはたおれた。
アランはそのすきに核にゴールドエクスカリバーを力いっぱい叩きつけた。

ギャーン!

脳みそのような、ウニのような黄色い塊が飛び出した。
バクン
核はアランとアルセウスを飲み込んで、閉じた。

パーカーはモニターでみていたが、レイチェルモンドにいった。
「………わたしがいく。地球とコインの連絡を頼む」



7


パーカーはエジオンソードを抜いた。

トルルルルルゥ
≪高熱レイザーモード:ダウンロード≫

「エジオンソードは剣だが、実は火器だ!」
パーカーはモードを操作し、ガイロスに向かってふるった。

高熱のレイザーが天から降り注ぐ。

2746

敵は海水を皮膚から分泌して、熱を防ごうとしたが、ゆでダコの様に赤くなり、焦げだした。

熱にやられ、触手もぐったり動かない。

パーカーはエジオンソードの柄を操作し、ブリザードモードに設定した。
そして、ガイロスに放つ!

zaaaaaaaaaa!  2983

ガイロスは氷漬けになった。

凍ったまま核を切り取り、アランとアルセウスを救出した。



8


クラークはゴールド・ウィンに移動してきた。
足場でかこまれ、体の修理を受けてる巨人に、女性の技術士が話しかけた。
「コインメタトリーのためにがんばってよ!」
巨人はぎろりと睨みいった。
「誰に言ってる?おまえらなどオレには食料でしかないのだぞ!?もし、お前が私より高い知性と理性をもっているのならオレは感心するだろうがな」

クラークは思った。
(おお!?あの牢の中の首もげた女はどうなんだべ)


地球

軍では問題が起きていた。
「ミサイル一基いくら予算を使ったのだ!」
「モンスターをたおしたのだから」
「たまに使わないと古くなり予算は同じでは?」
「カーター氏の容体は?」
「別条はない」
「あたりの建物が倒壊したぞ」



9

エジオンでは戦闘の分析が行われていた。
ミサイルや大砲は破壊力があるが、建築物を壊し、人民に危険で、金がかかり、超人の軍人がいるほうが安全ではないかと、分析結果がでた。

パーカーはこれを国民に公表し、意見を募った。

ゴールド・ウィン

巨人はガイロスにむかって弓矢を引いた。
無数の小さい矢に分割して突き刺さる。

ガイロスは酸を放出して対抗した。
巨人は風をふきつけて、防ぐ。
もう一度弓矢を引いた。
稲妻を矢に引いていた。

クラークがいった。
「どうやって稲妻を引くんだ?あいつ」
巨人は片目をつぶって狙いを定めていった。
「電子の塊を矢にしている」
「なるほど…学校で習ったな」

ガガーン! 3469

ガイロスが反撃するまでもなく、巨人は敵の巨体をつかむと、空に向かって思いっきり放り投げた。

いつの間にか手に銛をにぎっている。
落ちてくるところを、串刺しにしてとどめを刺した。

ZAAAAN 2891


その夜

巨人は広場に座り、報酬に、羊と牛がはこばれてきた。
人を喰われては困る。
クラークがいった。
「俺の国の特産品の羊だ。よかったな…」
「火をたいて丸焼きにしろ」
羊や牛が屠られ、吊るされて火にかけられる。
ジュージューやける音と煙のにおいがする。

少し離れて軍隊が警戒して見守る。
「ワインは樽ごと運べ」

樽が馬にひかれて運ばれてきた。
そう巨人は言って、樽をコップ代わりにしてゴクゴク飲んだ。
「なにしろ牢の中には酒はないからな。ひさしぶりの飲み物だ」

クラークは思った。
(アルフレット…まにあわないようだけど、どうするんだ?)

肉が焼けた。巨人は頭から丸かじりにして喰った。
「よく焼けている。うまいな」

「……それで、お前どうするつもりなんだ?」
「安心しろ。当面はこの国を破壊しない。それより牢の中に面白い扉を見つけた。お前もきてみるか…」
「またか…すごい宝があるんだろうけど…」

巨人はワインの樽をはこんできた馬まで生で丸かじりにして喰った。
「まあ、明日だ。夜は寝て休むぞ」
そういって、火を消して広場で横になって眠った。

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