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2012年8月8日水曜日

執拗なる宇宙コウモリ





執拗なる宇宙コウモリ

1

会議室。
カーターとパーカーは会議をしていた。
「カーター、会議が終わったら、惑星エジオンの名物を見学に行こう」
「楽しみです。パーカー。それで、時空警察からの報告とは」
「ああ、地球にも現れるかもしれない。宇宙コウモリと呼ばれる賊だ。宇宙海賊みたいなもので…やつらと会話するな。一切の取引は禁物だ。やつら抜け道を見つける達人だ。いいか、バリアをはれ!一種の当りやみたいなところがある。情けだけは禁物なんだ。たかられる。一撃で仕留めろ!どんな条約もすっとぼけられるプロだ。時空警察も厳重マークしているやつらだ」
「なるほど、アメリカ合衆国に報告します」
「それがいい。奴らは逆に説教してくる…」
「説教…!?というと」
「なにを勘違いしているのか不明だが、論理を使って叱ってくる。なら近寄るな!!」
「パーカーさんの怒り方を見ると…」
「タチの悪さじゃ最強だ。公正の余地はない」
「戦闘能力がそれほどでなくてよかった…」
「宇宙条約ではあらゆる団体から加入禁止にされている。時空警察で種族消滅処分も検討されたが、うまいこと逃げる。だから、最悪バリアをはって侵入を拒否している。捕獲する必要も戦闘もないが進入されるな!!」
「なるほど…。それで時空警察とは、その、どう接したら」
「それも難しい。わたしでも奴らの役人と接したのはほとんどない。下手なことをしゃべると時空警察に逮捕されると噂があるほどだ。つまり潔癖さのレベルが違うんだ。そして大組織だ。よほどなん京光年とはなれた宇宙まで旅立たないと、連中を超える組織は存在しないだろう。連中に消滅処分にされた種族はかなり多いぞ!正義だが、同時に厳しさがタチがわるいように俺も感じるのが本音だ」
「…なるほど、気をつけたほうがよさそうだ」
「会議を終わろう。着替えて、面白い名物の見学にいこう」



2

乗り物もやはり、ソフトウェアで自動だった。
パーカーがいった。
「仲良くやれと偉そうなことをいってるが…異邦人との接触は簡単ではない。貿易みたいにお互いの易になることもあるが、不必要な書類が山住になるぞ!それもつまらない」
クラークがいった
「…ビールがおいしくなくなるぜ。でもわかるさ。統率者はそういう警戒がいるだろうな。それで中の人は楽しくやれるんだ。人間同士でも同じさ。わかりあうなんて素手じゃ怪我するかもしれないんだ。邪険にしたくないなら触れ合うなという、標語もできるぜ」
アルフレッドもいった「だろうな。俺なんか下っ端の警官でよかった」
クラークはビールをおかわりしていった「俺も、パーカーの部下でよかったぜ。パーカーがぜんぶやってくれるんだ」
「ごほっ!よせ!!ひとをあてにするんじゃない。明日から週に3回会議だ」
カーターはコーヒーをカップに飲んでいたが、こういった。
「国や星でも握手する相手の判断は難しいだろうな。集団になると責任が分散されるようで気がでかくなるが、あとでつけがまわってくる」
アルフレットが首を振っていった。
「嫌な話だ。俺は警察として国民の平和を守ることだけ考えていたいさ」
「もうつくぜ。気分を変えろよ」クラークがクラクションを鳴らした。


3

地上でいう高層ビルのような建物だった。正面玄関が広い。
風が吹いていて、飛ばされそうだった。
「この惑星にも風があるんだな」クラークが太い声でいった。
「あるさ」アルフレットが小声で早口にいって、それから口を閉じたままだまった。
「なあ、アルフレット、クラーク。仲間は大切にしろ…うるさいことを言われたときスケープばかりしていたら、誰にも心配してもらえなくなる。心の中であっかんべーをしてると、誰も面倒みてくれなくなる。相手にされなくなるんだ」パーカーがいった。
アルフレットが即答した「わかってる。ひきずるなよ、パーカー…」
クラークがいった。「面倒みてもらうふりして、うるさいことうっちゃり。言うこと聞きたくないなら自分の足で歩け。そういうことさ」
アルフレットが口をはさんだ「夫婦なんかなおさらだ。そうだ、パーカー、あのお前の女はどうした!?連れてこないのか」
「ああ、おまえら男どもが来るから席を外すといっていた。嫌われたなアルフレット…」
「別に会いたいわけじゃない。だが、お前の女がどんな人間か興味がある。それだけだ」
「あまり、辛気臭い会話するなよ。せっかくのイベント会場があの世の天国の城にみえてくるぜ。あんまりすがすがしいのも気持ち悪いしさ」クラークがいって、なかにはいった。


4

ホログラムのアトラクションでクラークとアルフレットは遊んでいた。
高いところから落ちる。
途中の空間は反重力の抵抗があり、適度なスピードで落ちる。
その中をテトリスのような、光のカラフルなホログラムの立体がごちゃまぜに落ちてきて、シェイクされる。
「うおおおおーミキサーに入れられた人参の気分だぜー」
「宇宙船の外でアウストクロスを使ったときみたいだ。いちかばちか、いまためしてみるかーおおおおー」
敵度に重力の竜巻がおこり、かきまぜられた。
アトラクション会場を見たがパーカーがいない。
「カーターもいないぜ」
ふたりは、メイン会場をでて、ホールの喫煙室をのぞいた。
「いた。まだひきずってやがる」
みるとパーカーが煙草をすいながら、ベンチに座り吸っている。
広い喫煙室に意外と人だかりができていて、メイン会場と別のなごやかさがある。
「ほら、コーヒー」
自働無料販売機からボトルをクラークがもってきた。
「おまえら……、おもしろかったか」
アルフレットが煙草を取り出して吸った。
「つきあうよ、まだひきずっているのか」
「面白いボトルだな。飲み終わってジッパーをひっぱると消しゴムみたいにちぢんで最後になくなったぞ」
「太い声はよせ、クラーク。もう飲んだのか」
「ああ、最後は炭酸ガスになる…炭素でできた容器なんだ」
「ペットボトルにセミににてるな…おもしろいなこの星」
クラークは喫煙室の周りを見回した。
家族づれは外にいるが、中にいない。おやじが休憩に吸っているのが多いが、背広をきたビジネスマン風の若者二人が煙草をくわえている。女性の喫煙者もいるが、会社員風だ。突っ立ったまま吸ってる。もしかしたら、このアトラクション会場の従業員かも。ガラスばりの壁でときどき、滝のように水が伝って流れる。これで喫煙のヤニをながしているんだろう。噴水が壁に流れる感じだ。スマホで電話している高校生くらいの女の子もいるが、喫煙はしていなかった。アルフレットは警察として注意したほうがいいか無言で考えていた。
「金を入れなくていい自動販売機とかいいな。パンチングマシンみたいに、柔らかいクッションみたいだったぞ。殴って80ポイント以上だすとでてくるんだもんな。オレ、別のアトラクション見てくる」クラークは外に飛び出した。
「アルフレット…おれが別の惑星に住んでいたときだった。居住権を拒否されたことがあった。『君はダメ』。あのときは『しかたないさ』とおもった。だがあれは親切だったとあとでわかった。そういうやつは、自分で惑星を運営するとうまくいく可能性が多いんだ。どっちもダメなケースもあるが…ライオンのようなやつと声が太い奴だった」
「そうか、パーカー…二つの惑星で…おれなんかお前のおかげで結構いい思いしてるしな。まあ、元気を出せ」そう言ってクラークを追いかけた。
メインフロアのドアをくぐると、人だかりを漕いで、面白そうなアトラクションを見つけた。
でかい光の玉を蹴ると、大げさにはじけて飛んでいく。
相手もいろいろな形と色の巨大な玉を両手で押して、はじく。
ぶつかって、小さい粒の玉になって転がっていく。
ゲートに何個玉が入ったかを競ったり、どっちの玉が威力があるか競う。
反対側のフロアでは映画が放映されていて、あっちのゲームで入った玉の数によってストーリーがかわる。何回も見ると違った展開を楽しめる映画だ。
クラークは玉をはじいていた。
子供相手に本気でたたかい、直径5mくらいの光の玉をなんこもつぶしてきた。
アルフレットは反対で映画をみていた。
「みたことあるぞ、地球にいたとき見た映画に似てる。でも展開が記憶と違うぞ…やきましか、いや、台本作家の考えることなんか大体似てくるんだ」


5

「帰りは川を下るのか」クラークが太い声を出した。
「ワープしたら風流じゃないもんな」ガラスの玉にのり川を下る。
「俺達の住み家に川あったか?そういや仮想山王とバスケしたのおもしろかったぞ」
アルフレットも興奮していった。
「ああ、負けたけど『おめーらつえーよ』といってもらえた」
「あれは従業員がユニホーム来て一日中子供や客を相手にバスケするんだぞ。最後の方はくたくたになる」
「だろーな。俺らと当たったときすでにつかれてたもん。鍛えたい大学生のバイトか」
「そうだ。声が太いぞクラーク」
「疲れたから飯あんまりはいらねーな。なによこれ、刺身か。うまいけどな。川でとれるんだろ」
「そうだ、釣り道具もある」
カーターが口を開いた。
「いや、俺はつかれたな。こうして揺られていると気持ちいい。だまってると、基地につくしな。景色も見られるし」

次の日、目が覚めたクラークとアルフレットは基礎食堂にあくびをかきながら入った。
「ヘイ!く、クラーク!耳がロバの耳になってるぞ」
「ロバの耳になってどうする。寝ボケるなクラーク。ん、ホントだ!」
「やばいぜ。どうする?」
「おちつけ。髭をそるんだ」
ふたりは髭をそった。すると耳がもとにもどった。
「よかった。パーカーにも言えないぜ」


6

宇宙コウモリが来訪した。
しかし、パーカー達のつくったバリアで侵入できない。
バリバリバリバリ
「ガー」「ガー」
司令室でパーカーは部下に命令した。
「来たか。やつらをたたきおこして来い」
「ハッ!」
クラークやアルフレットがのこのこやってきた。
「なんだい、コウモリなんかバリアがあるだろ」
「そうだ、パーカー。徹夜してプログラムしたんだぞ。朝くらい寝かせろ」
「真面目にやれ。奴らを侮るな」
惑星全体が地震のように揺れた。まだ朝早く薄暗い。何匹もの宇宙コウモリがバリアを破ろうともがき、その振動で惑星が揺れるのだ。
「なんだい?奴らほんとにコウモリの体をしてるぞお」
「そうだ。だが人語を話す」
カーターが小走りに自分の長剣をかかえてはいってきた。
「なにか手伝うことは!?」
「いや、今は…」
そのとき、惑星全体が明るく輝き、爆音と自信の振動に揺れた。
「わっ!?なんだ」
「バリアのメーターを見ろ!90%までエネルギーを放出してる。限界を超えるぞ」

ドーンン

すごい振動でみんな地面にふせるように倒れた。
「χ…★…〇…Λ、うう、どうなったんだ!?」
パーカーが怒鳴った。
「宇宙コウモリがいない。別の敵の攻撃で奴らふき飛んだようだ」
「司令官!バリアが破壊されました。修復モードにはいってます」
「だが、バリアのおかげで惑星が破壊されなかったようだ。敵は何体できている!?」
「パーカー、どうもたった一匹の攻撃だったみたいだぜ」
「バカな…!?こんなエネルギーをひとりで」
モニターに小柄な異星人が腕組みをして浮かんでいる。
クラークがいった。
「おもしろいぜ。オレたちの出番だ」


7

カーターは長い剣を右手でかまえて突っ立っていた。
敵はガオンという名の正体不明の異星人だった。
手からエネルギーのボールを発してくる。
カーターは剣で切り裂くと爆発して消えた。
次の瞬間!体から閃光を放つ。
ビカビカ!
ズーン
「うおお」
周りにいるアルフレットたちもエネルギーの爆発をくらった。
ようしゃなくガオンはボールを放ち続けた。
カーターの剣は光の玉を防ぐたび高温になっていった。
「このままじゃ、愛刀がもたないな」
そういうと、ガオンにむかってダッシュした。
ダダダダ
ガオンは身構えカーターの攻撃に対応しようとした。
適度な距離でカーターは長剣を地面につきたて、ジャンプした。
グオン!
逆立ちのように地面と剣を下に中に舞い、空中で回転すると剣を下にして、逆立ちの姿勢のまま敵に突き立てるように落ちてきた。
「おおっ!?カーターいけ」
ガオンはカーターを見上げていたが、距離がちじまると、あわてて手からエナジーボールをうった。
「カーター!」
カーターは剣ではじかないつもりだった。防げば攻撃の機会を失う。
チュオン!
カーターは刀ごと高エネルギーの炎に焼けた。
ブルーのカラーワイシャツは焼け焦げ、ネクタイも燃えている。軍靴は防火処理してあるので焼けなかったが、カーターはダメージをおった。
だが、剣を突きたてるように落ちてくる。
「くそっ!」
ガオンはおもわずガードをとるように腕をクロスして、オーラで体を守った。
ズガーア
カーターの剣はガオンの腕をぶち抜いたが、体はオーラで防がれた。
さらに熱で剣がボロボロになった。
「…」
「フン!」ガオンは蹴りを放つと、カーターのガラ空きの脇腹を狙った。
カーターは右手で敵の頭を押さえ、相変わらず逆立ちの態勢で宙に浮き、左手を引き締めるように脇をガードした。
が、腕に蹴りを喰らい、骨が砕けた。
地面に墜落すると、仰向けにたおれた。
まだ、意識があった。
ガオンは腕がイカの刺身のように短冊に斬れている。
足でカーターに蹴りを入れた。
ドガ!
「…」


8

カーターがあおむけに倒れ、気を失ってからも、仲間は誰も身動きできなかった。
思わず戦いぶりに見とれ、口も手も出せないでいた。
「ハッ!カーター」
みんなは駆け寄ったが、カーターは助けようもないほどボロボロになっていた。
「やつを倒したら病院で治療しよう」
「カーターすまない。戦いに巻き込んで」
パーカーがいった。
クラークが鼻を鳴らした。
「次は僕のばんさ。晩飯までにはかたずけるさ。それと、パーカー…心を開けというけど、国民はすなおじゃないさ。星に居住してるのに政府に心を開かない。防衛してるのさ、パーカー君に対して。いわば、ちょっとずつ法律を犯して、自分に住みやすいようカスタマイズしてるんだぜ。この星のルールを自分用に」
そういうと、素手てガオンにたちむかった。
パーカーとアルフレットはクラークの戦いをみまもったが、パーカーが家を開いた。
「アルフレット…昔、この星を統治したころ付き合っていた女がいた。そいつにいった『なぜ、はっきり答えない!?いえない理由ないだろ』なぜだか、理由を述べなかった。そんな犯罪みたいな理由などあるはずがない。対してどうでいいことで、隠す理由などないはずなんだ。ところが、心を閉ざした。その女は…クラークがいうように、私に対して防衛していたのかもしれない。『いえないわよ』こういう。意味不明に感じたが、ここまで言うからには別れることにした。その女は『じゃーねー』そういって手を振って去っていった。別の惑星の居住権を買ったといってた。お前どう思う?」
アルフレットは得意のライオンソードをいじりながら、落ち着いたような笑顔でだまっていたが、こういった。
「うーん。俺には難しい質問だが…法を犯すようなことやってたんなら、問い詰めないよな。そりゃいいづらいよな。自分でもいいだせないよ。こうなる。だが、くだらないことでも勇気がいるんだ。宿題忘れましたみたいのでも教師にいいづらい。ところが、先輩がいると楽なんだ。前のアホガキが何人も忘れてる。対して叱られない。それなら勇気がいらないんだ。最初のペンギンさ。それと、さっきの話のイメージだとマンガとかにでてくる弓と矢を持つ男とかに追い詰められてるみたいで怖いだろ」

クラークは身軽にエナジーボールをかわしていた。
敵はエネルギーを無駄づかいして、疲労してきた。
宙返りしてよけたり、足下にしてはじいたりした。
痺れを切らして、ガオンも素手で来た。
いかの刺身のように短冊に切れた腕はカーターにやられたものだが、治療して元に戻っていた。
パンチはクラークと互角だった。
お互い何発か喰らう。

9

お互いのパンチが加速していく。
クラークの顔面に血しぶきが描かれる。
ガオンの顔も紫にはれる。

「アルフレット。オレは以前、時空警察の接待を受けた。エレベーターで付き添いがいたから、地理がわからないが、高層のフロアの一室に通された。途中向こう側に地球でいう着物のような展示をみかけたな。壺とか女性が遠目で花を並べていたような。オレが通されたフロアは横に平べったく長い。全面はガラスの窓で向こう側は高いビルの外だ。が、反対側にも同じようなビルがそびえたって、中空をはさんでいる。窓の外は夜で暗い。
まずコップが運ばれてきたが、また、それがきれいな器でびっくりした。見たこともない素晴らしい造りだった。それにビールが注がれた。おもわず『かつぐなよ』といおうかと思ったがやめた。そして、『地ビールですか』ときいた。『そうだ。あなたをもてなすために用意したがよろこんでいただけるか』そういう。そして、食べきれないほどの御馳走の山だ。ためしに焼き豚の串を食べてみた。塩とコショーの普通の豚肉だが、焼きたてでうまい。オレは明日には時空警察に絞首刑にされているかもしれない。末後の酒だ。そうおもうと、遠慮なく喰ってやろうと思った。ビールを飲むと風変わりだがうまい。楽師の演奏が始まる。かるいバックグラウンドミュージックで雰囲気が上品だ。ビールを飲み干すたびに器がとりかえられる。(金がかかっているだろうな)そうおもった。中空の庭では花火が打ち上げられ、ドラゴンの形をとったり、芸術的な創りを描いた。美しい絵が展示され、惑星エジオンの画家にも描かせてみたいなと思った。みると、向こう側のビルでも宴会が開かれている。人間が小さいく見えるがなんとなくわかる。きいてみると『あちら側ではあなたとは別の客人のもてなしが開かれてる』という。オレは単純に(そうだろうな)とおもった。
すぐ、食べきれなくなったが、酒は名残惜しかった。料理が下げられ、チーズと果物が運ばれた。果物には蜂蜜がふりかかっていた。酒もブランデーの上等のが運ばれたが、(量は飲めないだろうな)そう思った。見ると、空中軍艦がビルの間をパレードしている。目を疑う光景だったが、そのときは開き直っていた。『あれを買わないか、その宴だが。かなりの脅威を防ぐことができるが、やや高い』そういってきた。半分他人の気分で相槌を打っていた。給仕が『飲み飽きたら休む部屋が用意されてますので、どうぞ遠慮なく』そういう。そいいや、エジオンの恋人をつれてきたかったが、別れた後だった。目が回ってきた。やや、吾輩も丹力が落ちたものだ。そううわごとを言って、部屋で休むことにした。通路で冷たい水を差しだされた。甕(かめ)からくまれたが、味がついていたような無味無臭のような。それで寝具に倒れると朝まで眠ってた」
「なるほど」アルフレットがいう。
「あの戦艦を買っておけばよかった」
「通信してみれば…」


10

朝目が覚めると、案内がコップ一杯の水とともに置いてあった。
水を半分くらい飲み、案内に目を通すと、入浴のすすめがある。
ドアを開けると、温泉の表示がありすぐわかった。
比較的こじんまりした浴室でサンゴと桜の飾りがある。
温(ぬる)めの湯につかると、泡がボコボコ湧いてくる。そして足もとから冷たい水が噴き出し、熱い湯とまざりあう。
バスローブに着替えて部屋に戻ると、朝食が用意されている。
コーヒーとトースト。イチゴには練乳がかかっている。焼きウィンナーにケチャップがかかっている。

パーカーがそこまで話したとき、クラークの声が変わった。
「しかたね。本気出すしかないか…」
パーカーがアルフレットにたずねた。
「太い声になるとパワーアップするのか?」
「どうだか…」
ガオンは太い声のクラークに顔面に一発をもらった。
ドアッ!
敵は倒れたまま、§〒☆§…§χ  気を失っている。
「本気出したら一発で倒れたか…腕立てしすぎたな。腕おかしくするところだったぞ」
「おお………クラーク、勝ったのか!?」アルフレットがいった。
「こいつ、ききわけないから、教育してやった。殴られないとこの手の輩治んね…」
そのとき、巨人が現れ、ガオンを踏みつぶした。
「どうせなら、戦う前に来てほしいよな。やるきなくすぞ」
巨人はでかい戦斧をたたきつけた。
「いくらなんでも素手で受けたら死んでしまうな」
クラークはよけた。
大砲の砲撃のような衝撃で大地が揺れた。
「どうやってたおせってよ…もう終わりか」
クラークはジャンプして殴りつけた。
ドシ!
「ダメージあるんだかないんだかわかんね。こいつ体でかいしな」
巨人は利き手の反対の手で殴りつけてきた。
「うお」
クラークは喰らって地面にたたきつけられた。
アルフレットが見物しながらいった。ライオンソードが灯ってる。
「それで?声が変わって別人になるとか」
「そうだ。当時のオレは我が強かったけどな。今は計画を重視してる。ドリブルと同じだ」
巨人は斧をたたきつけたが、クラークは腕力で白刃取りした。
「うおおおおおおおおおおおう」
分身の一人は斧を受け止め、もう一人はドリブルのように動いた。
「使え、クラーク。槍だ」パーカーは槍を投げた。
「声が変わるまでもないな」そういってやりを受け止めると、残像を残して消えた。
巨人は相変わらず斧を握って力を入れてる。
巨人の真上から槍を突きたてる様に喰らわす。
ズガ!
喰らわせたが、パンチの反撃を喰らった。
「ガ!」
クラークは気を失しないかけた。

つぎからつぎへと、惑星エジオンに巨人が到着した。
「やべーな。一匹でしんどいのに、ひい、ふう、みい。まだ来るぞ」
クラークはクラクラしながらいった。
意識をはっきりさせるために首を振る。
パーカーは真っ青になった。


11



アルフレットはいった。「出番だけど、数が多すぎる。戦闘艦があったほうがいいけど」
そのとき、パーカーのスマホが鳴った。
「ハイ、ハイ、ええ、わかりました」
そのとき空から自動戦闘艦 冬月がおりてきた。
ズオオオオオオオオー
まばゆい閃光を放つ戦闘艦 冬月は中空から巨人に砲撃を開始した。
ズオンン ΛЁ ΨΗ
ギリシア文字やらドイツのウムラウフやらのような記号文字の光線が発射される。
アルフレットはライオンソードをふるった。
スオオオーン

時空が振動する音が出て、巨人の数体が斬れた。

クラークが槍を投げた。
「スリーポイントアタック!!これで仮想山王から得点を奪ったんだからな」
ズーオオオン!!
槍は巨人をつらぬいて、天に消えていった。

アルフレットのライオンソードと巨人のハンマーの対決だった。
巨人はフルパワーでハンマーを地面にたたきつける。惑星をたたき割るつもりだった。ライオンソードはエネルギー全開に放出して、メソンとバリオンの竜巻が回転した。
トルルルルルルr-

戦闘艦 冬月は暁に輝く光の塊を放った。
かなり巨大だったが質量0のニュートリノを赤の波長に振動させたかたまりだった。
しずかに落下していく、巨大な塊はレット・ストップ・スコープと呼ばれる。

アルフレットは機雷をつかわず、精神力だけでアウストロクロスをつかった。

パーカーはスマホに指示を送りバリアをはって自身をガードした。そして、腕をクロスしてガードした。
そしていった。
「惑星を破壊せず倒してくれ!クラーク!アルフレット!」

あたり一面爆発の衝撃とあらゆるエネルギーの渦にまきこまれ、すべてが消滅するかのようだった。
パーカーのバリアは触れる光線や温度を瞬時に分析し、それに対応して消滅させる粒子を送る。それで事なきを得ていた。

クラークはパワーの衝突のさなか、巨人を次々にたこ殴りにしていた。
「こいつら、有無を言わせたらダメなんだ。自分の権利を勘違いしてやがる」
アルフレットは全エネルギーの精神力を放出していた。
悪と戦うエネルギーを。
なんなら怒りのエネルギーで惑星を消滅させてもいいと考えていた。
黄金のように輝くアルフレットは腕をクロスして頭上にかかげていた。すでにライオンソードはすべてがパワーとして消滅していた。
「貴様らの責任だぞ。てこずらせるから手荒になる!!後悔しろよ」

巨人は殴られ、燃え尽き、ダメージをおいながらも冒涜や罵りをやめなかった。ヘラヘラしたり、大仰な文句を並べたり、あるいは自慢の武器をたたきつけたり、自分たちから攻撃してきたのに、被害者のようにたけり狂ったりした。


12

クラークは二人に分身していた。
「高圧のエネルギーの塊にいるけど、自在に動けるんだな」声の太い方がいう。
「身軽に動けるくらいだぜ。ニュートリノとかスカスカなのかい。それにしても、自分が二人いるのは気持ち悪いぜ」
「な。俺もそう思う」
パーカーが叫ぶ。
「時間の動きがスローになってるんだ。あとちょっとで炸裂するぞ」
アルフレッドは巨人に、一方的に殴られ続けた。

ゴン!ドガ!ガゴッ!

ダメージを喰らいながらも、アウストロクロスを止めようとしない。精神エネルギーを放出し続けた。

ふたりのクラークは最後にひと暴れするため、巨人に向かった。
「職場で、責任もとらないのにでかい顔したがるやつ、身分一番下っ端にされるんだ!下っ端の仕事やらせて根性たたきなおさないと直んね!」
巨人たちは目が三角で火のように燃え、口元は口が裂けるほどに笑みを浮かべた。
もう一人のクラークもさけんだ。
「責任の重みがわからない奴は、身分が下のものだからさ。差別発言なんかじゃない。わかってるやつは恐ろしいから、責任者をやりたがらないんだ!」
パーカーが叫んだ。
「爆発するぞ!」

フォーン――――
惑星エジオンの2/3が吹き飛んだ。

バリアで身を守ったパーカーでもやけどを負った。
クラークは一人に戻ったが、しばらく意識不明が続いた。
カーターとアルフレットは地球に戻って入院になった。

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