ドラゴンソード
1
アルフレットは公園から、ラグナクロクの住宅街のほうに向かって歩きだした。
「みたことのない住宅街。しんみりおちつく」
あるくと閑静な住宅街は新築にみえる一軒家がのきなみならぶ。
たまに角にコンビニエンスストアがあるだけであとは、公園とかだけだ。
道路も交通量がほどほど、
少し外れた道を選ぶと、学生用、あるいは新社会人の一人暮らし用のアパートがある。
だが、おしゃれで悪くない造りだ。
ペンキで統一感ある面持ちにこしらえられている。
結構高そうなオートコントロールカーが駐車され、みるとここに住んでみたら楽しいだろうなとアルフレットは考えてみたりした。
「どんな人が住んでいるんだろう?」
二階建てで窓がパリ風にみえる。
四所帯分か…?
致命的な田舎町なら喫茶店にみえなくもない。
街路樹が涼しげに風になびいている。
「ふーん、大学生には贅沢なつくりだね」
そういってトボトボ歩きだす。
交通量の多い道路の歩道を伝って歩くと、だんだん住宅都市という感じになってきた。
ラグナクロクの端に近付いているようだ。
空き地や工業施設がふえてこなくもない。
見晴らしはある意味いい。
見上げるような大型のマンション…
いや億ションというのか、縦にも横にも巨大なマンションがみえる。
ぽつぽつといろんなところに形の微妙に異なるマンションがある。
「あれだけの大所帯で人がすんだらどんな感じがするんだろう?子供がいちばん上のフロアの階段から下りて、いやエレベーターがないと無理か?学校に行くのか…ゴミなんかあんな上からしたまで階段で捨てに行くのか?無理だな、ダストシュートか。町のごみ収集が来るのか」
300人位が住めそうな大きさだ。
もはや巨大ホテルのように見える。
もはや要塞のように感じられる。
排気ガスと高速で走る車の爆音が厳しいノイズを生む。
バチバチ自分に体当たりしてくる感じがする。
歩道にいれば気をぶつけられるだけで車は突っ込んできたりしない。
だが、カマイタチが常に飛んできている感じがした。
「痛い痛い…」
アルフレットは歩きながら思った。
粉じんが練り粉のように固まっている。あまりにタイヤの回転が速いため、工場のものすごい力のモーターで動く機械みたいに無機質だ。
反対…人が住んでいる。
「コンビニが真ん中くらいのフロアにはいっていそうだ。ぼくがテナントで経営してみたい」
交通量の多い道路を少し避け、脇道にはいる。
少し、そろそろ引き返す気持ちで。
お洒落な、何なのかよくわからないひよことかニワトリの看板があったりする。もはや民家が建ち並ぶ。
幼児が庭で遊んでいる。
「あんな小さい子供がいて、こんな家に住んでいるのか。ラグナクロクはエカルテより豊かだ」
スズメがパチパチさえずっている。
閑静だ。のどかだ…
みるとソードショップがこんなところにある。
「お、辺鄙な位置に」
はいると白髭の、エプロンをしたオヤジが店番をしていた。
パイプをふかしながら、新聞を読んでいる。
「いらっしゃい」
「いや、金がないんだ。ああ、みにきただけさ」
「…いいよ」
見ると壁に剣がかけられている。
「おっ、ドラゴンソード、いまさらだが一般的な武器だ」
刃をみると研ぎ澄まされている。
「うーん、欲しいが一万しないくらいか。支払いで0になったばかりだ」
「後払いで持っていっていいよ」
「なに!?本当か」
アルフレットは住所と身元をメモ用紙に書き込んで店を出た。
2
ラグナロク軍の駐屯地
「いいかトム。クラーク王がいっていたが、彼は常にスーパークラークの状態らしい」
「なんだよ、エドアール、スーパークラーク!?」
「彼が、スーパーでない、通常のクラークになると、俺と互角くらいだという。そのころは何をやっても稼げなかったという。カーター氏の仕事のアルバイトをしていたそうだ。オレも3000ダメージの域を超えない。いつまでたっても、いい武器を持っても、いいとこ3000だ。スーパーエドアールになれば8000くらいいくかもな」
「スーパーエドアール…!?」
アルフレットはドラゴンソードの包みを抱えて、住宅街の内部を縫うように引き返した。
人のいるところに出たいという願望や要求が発生しても不思議ではない。
アルフレットは歩きながら考えた。
だが、たんに人出の多いところ、交通量の多いところ、雑踏を歩いても、人ごみに疲れてよれよれになるだけのことが多い。
ミネラル、心の中でそう呼んでいる。不足している栄養素がマッチすれば快感だが…
学校の行事とか会社の仕事、あるいは個人の用事。
長時間人と付き合わされて、「早く帰りたい」となったこととかないだろうか?ぐったりして、「水が飲みたい」代わりに帰りたい。
人ごみの喧騒に焼かれて疲れた証拠だ。
海など本当に気分がいいのだろうか。
海で三文小説を読書。
なぜ海で。寝ているだけなのか…
カーターがいっていたな…
【初期の時空小説参照】
とどのつまり、人前に出たいときの多くは「脚光を浴びたい」なのだ。
+の評価を受けたい。
いい思いをしたい。
普通にしていると無理だな…
ある種のビルの一階、なんとかODMだかなんだか、施設のロビー…
高級な応接セットが広いフロアにあって、意外と時間帯には人影がめっきり見えなく静かで、ぽつねんとしている。
学校など生徒が溢れて具合が悪くなるほどだ…
座り心地のいいソファ。だが人がいなく。自室でひきこもっているかのようだ。落ち着くをとおりこして、「休みの日に一人で家にこもっている」かのようなトレーニングをさぼっているかのような気分にさえなる。
外なのに、家の中にいるような安心感をすぎてさぼりの気分。
閑静な住宅街など、外気を浴びる心地よさ、たまに人影があり・騒がしくなく。さびしくもなく、落ち着いたさわやかな日光を浴びることができる。
知り合いはいないがね…
公園まで戻ったとき、住宅街という森をぬけだした気になった。
「お、なんだ、あれ?牛!?」
公園に普通の牛くらいの牛竜(ぎゅうりゅう)がいる。
3
アランたちの船は順調にエジオンに向かっていた。
途中宇宙ステーションに停車していた。
クラークたちがパーカーとよった宇宙ステーションは廃墟のような骨組が不安定な宇宙に浮かぶ悲壮的なものだったが、ここのは、安定している。
プレートが何層にも重なったつくりで、イメージとして高速道路の料金所の入口をおもわせる。
あそこで働いている人は、車で一気に送られて残されていくのだろうか?
船が一度に何隻も入ることはめったにない。
だが、一口の両サイドにプレートが層をなしてならんでいる。
経営者はもと宇宙海賊だったとかいわれている。
必要なものを循環してくれる運搬船が来ないと死滅してしまうので、運送会社との連絡と友好関係は重要だった。
そのために、コンピュータが自動で情報を管理している。
エラーがあると警告を発し、従業員が気がつくようにしている。
機械まかせだけではなく、情報を無作為にスライスして、不可解な点がないかチェックに労力を割いている。
そのため、水、飲料水、燃料、食肉、部品、商品の備蓄などが問題なくスムーズにいく。
お客様にも気が利いて苦痛を与えないよう設計されている。
体とおなじで悪い個所に痛みが走り敏感に気がつくようにセットされていた。
部下からの報告は上が嫌がらずにきくように指導されている。
そのためトップは心臓が常に悪くなっていた。
昔のTVゲームにでてくる、不思議な世界のような宇宙ステーションだ。
≪ただいまプレートニクス宇宙ステーション。3アウワー停車いたします。お降りのお客様は混雑の具合をお考えになり、落ち着いてお降り下さい。惑星エジオンまで次の停車は御座いません≫
座席が停止した。
二人は窓の外を見る。
「おりるか?アラン」
「おりる」
カーターもヘッドホンをはずして、席を立った。
プレートの大地はバカ見たいには広くない。
植物がかなりのスペースをとり、酸素を供給している。
統括センターがカプセル状の建物の中にあった。
「時空警察がモンスターを退治してくれるから、旅行客や運搬船が増えた。時空警察さまさまといったところさ」
「備蓄が足りないもの、売れる商品、取り引きされる商品、コンピュータの神経システムが管理するからわが社は大もうけ。自動で膨大なデータを処理するコンピュータと数字を読める係員の二人三脚だ」
4
時空警察
特別防衛隊、ランクC、V.キャノンの正式メンバーが決定した。
ランクAとBにいたっては隊長しか決定していない。
Aがステファノ、Bがゼイン
Bの隊員にレイヤー女性隊員が含まれると憶測されている。
V.キャノン
隊長:ジム
隊員:ネオ、シャノン、ウィーナー、タイガータンクの5名だ。
5
クラークがエドガーの黄龍刀をみていった。
「黄龍刀か…みせてくれないか」
「いいじゃろう」
糸を束ねたような和式の縄が木の鞘にくくられている。
スラッと抜いてみると、金色がかったような光り方をする白銀だ。
「金角、銀角っていうのか小判をうすくしたようなテカリだな。刃もスムースになめらかだ」
パチンと鞘におさめる。
「これは惑星ハポネスという星で鍛えた品物だというな。トウショウがいてトウジが“サケ”を造っている。ドラゴンソードもハポネスの生産品だとか」
「ドラゴンソードか…」
「鉄に何か混ぜて、特別な火で鍛えるとか…エンリル王の時代、ハポネスから技術が伝わり、半柄の刀とかうちの倉庫にある刀がうまれたという」
「へえ、エンリルか…」
6
アランとアルセウスはもどってきて着席した。
「なかなか面白い宇宙ステーションだ。わたしも出店してみたい、宇宙事業だ」
出発時間が近づく、ざわざわ客が入ってくる。
カーターももどってきた。
「カーターさん、エジオンにはよるんですか」アルセウスがきいた。以前、エジオンで巨人との死闘のとき参加した。
「少し…あいさつしていきます」
ベルが鳴った。
≪10メネツ アフターに発車いたします。ドアがロックされますのでご注意を≫
アナウンスが流れてしばらくのちドアが閉まる。
気圧が変化している気がする。
10分後動きだした。
ゆっくりと、スローモーションのように船が加速していく。
座席に座ったまま、窓の外のステーションの景色が後ろに下がっていく。
三人は名残惜しそうに窓の外のステーション、プレートニクスをみていた。
7
アルフレットはいきなり攻撃しちゃいけないと、手なづけようとした。
「どうどう」
牛竜(ぎゅうりゅう)は四つん這いで立っている。
「動物は一日たちっぱなしで疲れないのか。四つん這いだからか?背中のたくましい肉は重い体をささえているからなのか」
牛竜はくちから熱風をはきだしてきた。
「うお、熱いぞ」
674…
アルフレットはドラゴンソードのつつみをむくと鞘から抜いた。
鞘を地面におく。
シャアアアア
「フン」
シュホン!
だが牛竜は重そうな体ですばやくよけた。
「なに、早い!?」
アルフレットは剣閃で追いかけた。
シュオオオオッ
サアアア
牛竜はかわす。
「なるほど…早いな」
アルフレットはオーラを高めた。
「%は消費するエネルギーのでかさであって、ダメージに比例するとは限らない!!」
アルフレットシャワー
水滴サイズのオーラの粒がとんでいき、牛竜をとらえる。
2345…
「ぶるん!」
牛竜は獣がいきり立つように四肢に力を込めた。
「おおお、巨大化するぞ」
みると牛竜は公園の半分を占領するかのようなでかい牛となっていた。
8
時空警察―グレートシティ
タイガータンク、シャノン、ウィーナーがコーヒールームに集まっている。
「きいたか、特防隊におれたちが召集されるって」
「…」
「戦闘はある意味自信がないが頭脳ワークでサポートなら」
ウィーナーが自分で開発したという新型の剣をみせた。
タイガータンクが手に取って見る。
「これは?」
「演算ソード」
ガチャと鞘の付け根をスライドさせると、液晶数字板がずらっと並んでいる。
カチカチデジタル時計のように数字が表示されては変わっていく。
電子体温計にも電卓にもにている。
「何か演算しているな」
「そう、モンスターのデータをインプットして自動で演算処理して剣の持ち味が変わる。開発段階だけど」
ガオンでもインマウスでも、攻撃により剣が冷気になったり、炎になったりするという。
さらにセンサーが何種類も内蔵されてデータを蓄積していく。
スマートコントロールアクスとも違う機械剣だった。
9
ラグナクロク駐屯地に電話がきた。
りんりんりんりん☎
トムがでる。「はい、ラグナロク軍駐屯地…」
他の隊員は銃の手入れをしている。
「エドアール、公園でドラゴンとたたかっている金髪がいるって通報だ」
アルフレットはドラゴンソードで斬りつけた。
「でゃあああ」
片手を大きく振りかぶる。
ザク 4571
「ホウ…なかなかの切れ味だ」
でかくなると牛竜はよけようとしない。
つのをアルフレットにつきつけ、押してくる。
「お、雄牛合戦か」
アルフレットも怪力で対抗する。
ぶるんぶるん!!
もうもうと煙が上がる。
エドアールたちが駆け付けた。
「なにしてるんだ!?おまえ!」
力比べはいったん停止した。
牛竜は何もなかったかのように鼻息を噴射させている。
「エドアール、貸してやるドラゴンソードだ」
鞘をひろって収め、エドアールにわたす。
スララアア
「おおっ、鏡のように磨かれた剣だ。美しい刀身、やや細身で刀に近い…」
キランと光を反射して光る。
「ドラゴンソードか…ほしいな」
「7000いくらだった」
「信じられん、こんな銘刀が…」
10
エドアールがドラゴンソードをふるいながらいった。
「これがあれば、ガーゴイルなどたやすくスライスできただろうな」
(アウトセーバーは石のような金属の剣だ。ドラゴンソードの繊細な味はない…)
牛竜はどこかとんで消えた。
エドアールは地元ではあるが、アルフレットが買った店を知らなかった。
「こんどいってみる」という。
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