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2013年9月17日火曜日

カリオストロ




カリオストロ












1


試合は一勝四敗だった。


コインメタトリーにカリオストロの本が電送され、コインの印刷所で印刷されている。

エドアールも話を聞いてぶるっとした。
「カリオストロ…山師だ!だまされるぞ。こういうときあの男にいてほしい。あいつなんかこの手の山師だの錬金術師だの魔法使いに強いんだ。ああ、あいつのしゃべり方がうつった」
トムがいう。
「そんなことないぜ。なかなかの魔術師らしい。アリスタンダーなんか一緒に戦いたいぜ」
「ああいうやつはお互いけん制して、争わないんだ。アルフレットなんかがカリオストロを封じる第一人者だ。ああ」


カリオストロの本をアルバリシア・ハォゼンツィズが開いて見ていた。
「これが、最近話題のカリオストロの本ね」

エドアール・エルモントとはいとこどうしで、婚約者である。
カロリーナ・ラグナクロクもいとこで、ラグナクロクの土地で御三家をなしている。
カロリーナの父が現:ラグナクロク国王である。

エルモント家、ハォゼンツィズ家、ラグナクロク家が名家として代々存続していた。


カリオストロの本にはこんな事が書いてあった。

[もし、堅実に努力して上達したい。技術であれスポーツであれ、稽古事であれ。そんな人は入るべき、所属するべきグループがいくらでもあるではないか。
人間がなにかのサークル。集団組織に属したいと考えるとき、その心理は。
権威に従いたいだろうか。それならはじめから、国家という組織に属している。
ルールをまもり、一から築き、努めたいだろうか。
多数の特定の人間たちは、ルールを守らないことをしたくて組織にはいろうとする。
権威にさからいたいから所属しようとしているのである。
夫にさからいたいがために、名家に入りたい女までいる。
国家や企業でルールをおかすと罰がまっていて、不利になる。なら、なにかの組織に入りその権威に泥を塗りたい願望があるのである。
くりかえしのべるが『この組織ならマナー違反をして許される』そして『泥を塗っても大したことのない顔なら塗っても面白くない』である。
国家において社会において罰という形で統制されている人民は自分の気ままに違反をできる組織を欲している。]

「なるほどね…少しわかるわね。でもはなから禁を破ろうと企んでいる人は自分がルールをしくはめになって、自分の夫にそれを破られるんだわ」

そうして、忍耐を覚えさせられる。

[まるで冬に凍った水たまりを踏み割って遊ぶ子供のようにルール違反を楽しむ。それとも叱られたいのかもしれない。どちらにしろあなたの相手にする相手ではない。]

エドアールも気になり、ラグナクロクの本屋に足を運んだ。
見事に積んである。
人気図書のようだ。
「カリオストロか…何が書いてあるんだ?」


エドアール・エルモントとアルバリシア・ハォゼンツィズのふたりの恋がカリオストロによって試される…




2


オーブリー、カーターたちは、パズズがひいたため、休止してキャンプで休んでいた。

レット(アルフレットの約半分)がコンビニの袋を二つ下げてキャンプに近付いた。
「どう…?ここだときいて。買ってきたけど」

缶ビール、生肉、飲料水、水薬、医薬品、野菜、ジュースのペットボトル、おかしなどだった。

「アルフレット!」カーターがいった。
「よせ!いまはレッドだ」

火をおこしていたオーブリーが肉を袋からがさごそと取り出し、焼きはじめた。
ジュージュー


3


カリオストロの著書

[吾輩は現世(げんせ)を知らず、勘違いしているためあてにされない御仁と違い、現世(うつしよ)に通じている。そのため人々に指示を仰がれることもあれば、反対にインチキ紛いの山師あつかいされることまである。
人間は他人の体をいじられるのを嫌う。
だが、一部の専門家、安心できる相手には触られてもいい。
医師、デザイナーなど人の物事を触る仕事だが、人々に支持されることが職業の一部をなしているといえよう。
かの御仁たちなど、人々の仲間に入れてもらうのはもはや不可能であろう。
吾輩からするとかかる御仁たちなど、神通力で人とつながろうとするから、どこか無理があり嘘があるのだ。

人間など反発しあうバネのようで、通常の状態でひととつながれない。
外部からのストレス、いってみれば禍、戦争などの悲劇がかかって人はつながる。反発する玉を無理に圧力をかけないとつながったりしない。
彼のことだから腹をたてないだろうから言うが、
彼にこの世界は永遠に救えないだろう。
彼の世紀は幕を閉じた。

人は人と通じていて気味のいいものではない。
そこからはじまる。前提として人間はつながろうとすると災いだということを。]



エドアールたちは軍隊の仕事の帰り、コンビニビルにいって食材を買いあさり、トムの自宅アパートで飲み食いしていた。

「エドアールはお偉いさんの親父とおふくろと暮らしているのかよ。豪邸かよいか」
「いや、安い下宿を借りている」
「そうなのか」
「ああ」
エドアールはきのう買ったカリオストロの本を開いて読みながら飲んでいる。

「喰いもんもうないぜ。炭酸飲料で夜を明かすさ」
「チーズとワインがあるぞ。ビンごと開封してないだろ」
「エドアール…何が書いてあるんだよ」

「うーん、人間と人間とか哲学みたいだな」


[楽園から楽園まで馬を駆って世界を飛翔するのがかの御仁たちの世界なら、この世界は地獄であるのか?そうではない。吾輩は地獄を見たわけではないが伝承や文献をあさると地獄の物悲しさはこの世の比ではない。この世のまだ捨てたものではないところは気安い優しさに満ちていることだ。捨てられたものをあざ笑ったりしない。永遠に苦しめたりしない。悪か善か人に尋ねられ吾輩はとまどったが、今ではこういうことにしている。世慣れているだけだと。悪か善かはこの世では著作の中の話に等しい。悪では生きられず、善では苦しむ]

エドアールは本を閉じた。
そしてこういった。
「ダリだ。サルバドール・ダリあたりがいいそうだ」

トムがいった。
「楽園なんて立法がうるさい世界みたいなもんなんだぜ。悪を極悪と末梢しようとさえする。美徳に相次ぐ美徳を要求するうるさい世界さ」
「おいこらトム!どこから、しいれてくる!?」
「エドアール、あの金髪の大男みたいになっているぜ。動揺すると似てくるじゃないか」
「は…」

コンビニでチーズを買いあさってきた。
今はいろいろなチーズが組み合わせて売っている。
「いろいろ試して食おうぜ」

カマンベール、カテージチーズ、モッツアレラ、スカモルツァ、ブルーチーズ、ゴルゴンゾーラ、モントレージャック。
ひとケースが小さく小売するのでいくつも変える。

「チーズ合戦だぜ」
エドアールもいくつか試して口に入れた。チーズの風味がなぜだか安心感と満足感をあたえてくれて、不安を取り除かれた。

ワインをグビと口に入れる。
気分がよくなり、プラス思考に転じていった。

アルバシリアにあってこよう。
そんなことを考えていた。




4


地球・ロシア北部

レットがノートパソコンを地べたに置いて開いた。そして、腹ばいになり軍事用コンピュータとして操作した。
「まずはパーカーだ」
≪おう、どうだアルフレット!?≫
「まだだ、地球に到着したところだ。話によるとこれだけ人数がいればなんとかなる様子だ。そっちはどうだ!?」
≪エジオンは平穏だが…ジャイロダインにつなげ≫

オーブリーはバクテリアブレスの体調の悪さも引いたようだったが、一時的なものだった。
軽く体調が悪いような風の引き始めの感じだ。

体の不調がオーブリーの能力を引きだした。
「スウ」
空気を吸い込むと脱力するように軽くだるい。

レットのオーラが飛びかかってくる。
「うん、じゃあジャイロダインにつなぐ^ね」

(でかい声だ。体がだるいと堪える。電流が飛んでくるみたいだ)

ジャイロダインのウルフに接続された。
≪アルフレットさん、いや、なんだかだらけてしまって≫
「おいこら、ウルフ、そまってどうする!?司令官だろ」

オーブリーはレットのオーラを受け流して後ろに流した。

(なに、気がぬけていった…!?)


ファジオは焚火の火を小枝など拾って固形燃料の燃え残りから木材に火をつけようとしていた。
「山火事に気をつけろよ。まあアルフレットのオーラで消せるか…」カーターは火傷に軟膏を塗っていた。

ワトソンは「僕は寝させてもらうよ」と寝袋にはいった。

ロシアのニュースを点検していたが、レットがいった。
「パソコンでみるとロシアがミサイルをパズズにうちこむとある」
「ミサイル!?」
カーターもいった。





5


コインメタトリー・ラグナクロク


エドアールは少し酔っ払ってトムのアパートから自宅に歩いて帰ろうとしていた。
少しの荷物の入ったかばん、オーバーランス(比較的軽量のタイプ)、グッド・ソードのショルダーをさげて。

ギラ

「ム」
酔っていたが、対応は早かった。

かばんや剣を地面に捨てると、オーバーランスをかまえる。

暗闇の気配から剣が鋭く突きかかる。

バーラルブレード

ギン

エドアールの腕にかすった。
血が流れる。

「この太刀筋は…!?」

エドアールはランスをしごいた。

ドシュ!!

またつきがくる。

「ハッ」
目見当で距離をとるように跳ねる。
かわした直後にランスを撃つ!

ガシィ
「鎧!?まさか倒したはずの…」

ぐおおおと赤い火の玉が燃え上がる。
フレイムボム!

火球が自分に直撃する前にオーバーランスを旋回させ投げつける。

ドーン!
打ち上げ花火が爆発するかのようにランスと火の玉がぶつかりはじける。

敵はしばらく静止していたが、ザッと踵を返して去っていった。




6


地球・ロシア北部


巨大なドラゴンフライがあらわれエアーアタックを唱えてきた。
カマイタチのように真空がレットをおそった!

ザク

アルフレットの片目の瞼が切れて血が流れる。
片目をつぶったままレットは宙に浮きあがった。

「ホウ、巨大なトンボトカゲのようだ。このドラゴンソードをためすのにちょうどいい」
「アルフレット!」カーターがさけぶ

ファジオも「彼の強さを見るいい機会だ」といった。

オーラの力で体が光に包まれ空中に浮き上がる。
ドラゴンソードを抜くと鞘を地面に落とした。
なぜか…羽のようにふんわり地面に落ちる。

2/3が神のアルフレットの戦い方を見せよう」
「神々しいよ。アルフレット…地球にいたときと何か違う」ワトソンは腕手目を覆って隠れた。


ドラゴンファイア

火焔がみっつ、業火をさくれつさせとんでくる。

レットのオーラ

レットは薄笑みを浮かべ静かに浮いている。
ドラゴンファイアはアルフレットにあたると消えてしまう。

ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

「ダブルボディで半額。ダブルボディで親子になるやつもいる。きさまは半分くらいのオレでちょうどいい」

「悲しそうにいうなよ、アルフレット!!」ワトソンが叫ぶ。

「ドラゴンソード オーラなし」

鏡のように磨かれた剣。

すらっと、斬りつける。

6451

「ドラゴンだけに大ダメージだ」

パズズはライトニングボルトを唱えた。

スローな稲妻がむかってくる。

「オーラの備蓄が7年分あるとおもっていたら大破産だ」レットは悲しそうにいった。

「アルフレット!片目の傷はいやせないのかよ」ワトソンが叫ぶ。
「ハンディキャップがあるくらいの方がガッツが生まれる」

オーブリーがゆっくりした雷にイーグルフルーレをむけた。

バリオバリオバリオバリバリバリ

「オーブリーなにを!」カーターが叫んだ。

避雷針のようだった。

両手を反対方向に広げて突きだしているオーブリーは剣から受けて電撃を後方に流した。

「あらゆる気をうけながす。極意を悟ったぞ」
「うむ。私も覚えたいタオで似たようなことができるかもしれない」カーターがいう。

オーブリーの方手から受け流した電撃がそのまま森の木を焦がした。

「できた…!!」

オーブリーは七宝星(しちほうせい)、皇申剣(こうしんけん)、気の受け流しとかなりのパワーアップの飛躍を遂げた。
レベルラハム、アルスタンダーと闘った経験が今、レベルアップに導かれた。


「いいぞ、オーブリー君。とどめはぼくが」
レットはドラゴンソードの切れ味を生かし、滑るようにパズズを斬る。

ドラゴンソード 6002



7



「なに!?倒したはずのバーラルデビルが襲ってきた!?」
ラグナクロク国王から電話をスフィンクスでうけてクラークは驚いた。

「エドアールが…それはアリスタンダーの残党が暗躍しているということなのでしょうか」

「…」

クラークはエドガーにいった。
「まだはっきりしてないからな。ゴールドウィン王に連絡するにしても誇れることでもないから連絡しにくいな。あっちからかかってきたらチクルか…」
「ブロームイン王なんかなおさら連絡しにくいですな」エドガーがいう。
猫がいった。
「あまりつつぬけでも困る気がしますし…」
「そうだな。アルフレットもいないし軍人の精鋭いっぱいいる気になっていたの遠い昔だな。こんなに精鋭いらないくらいに思っていたのにな」
「敵がガオンだと、勝負にならなくて面白くないとか余裕してましたよね」猫がいう。
「今、思うとありがたいな」

まだクラークは自国にエドガーとか猫とか相談できる相手がいてよかったと実感した。
軍も雇っている。
軍を維持するのに莫大な費用がかかるが。
だが、精鋭でポールなど強力な敵に通じないのが怖くなってきた。

「軍の強化か…強化だな」


                                  


8



ステファノ
「イエス…大佐!女性隊員が特防隊にいることについての統計が取れました」
≪いったいなんだ!?ステファノ…≫
「大組織のメカニズムと同様」
≪!?というと…≫
「われわれ時空警察がそうですが…組織になると、上がそういうからで判断します。つまりはトップダウンで…そのとき自分で判断しなくなる。上の命令が気にいる気にいらないではなく、男性は嫌もいいもない」
≪なるほど≫

「五人組の特防隊も全員男性なら巨大組織と同じ原理が働きます。女性は自分の考えでさばこうとします。自分の裁量に合わないとき裁かない。わからないでとおします。自分で判断したとしたらあまり厳しくしたら気に病む。ところが自分で決めたわけでない、上の判断ならそのまま融通を通さず実行する」
OK、個人だったとしたらそこまで強要できなし、人情が働く≫
「イエス!いい方向にも悪くも。それで人数がいる方が大きいことができるケースもありますが、」
≪悪くいけば、残虐あるいは指示の意味を確認しなくなる≫

「命令や任務の遂行に実直になるあまり、命令の意図や誤謬をあまり意識しなくなる。集団心理現象です。だが、女性が隙間にはいると…自分自身の価値判断がかなりの率でまぎれこみますので、緩衝作用、クッションのようになったり、あるいは指示の通りの悪さになったりします」
≪ううむ。前回の報告を煮詰めた感じだ。わかった。上は下が司令や指示にどう感じているか意識する。だが、指示された側は意外といいも悪いも感じない≫
「イエス。“そんなの自分が決めたことじゃない“という思考になりやすい。が、それがないと自給自足で思考することになり学校も教科書も問題ありということになる。だがバランスが悪いと」

≪なるほど…≫










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