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2014年12月11日木曜日

ポールの良心
















1


ポールはライデンソードを静かに抜くと、魔法を唱えた。
【電撃剣】

ズゥギャ 1741
(とうとう完成した。今までの電撃技をすべて捨て去って統一した。唯一の自分自身を守るすべ)

ポールはクラーク王に呼び出しを受けた。

「おう、きたか。すぐに出発してくれ。マジックギャルの護衛だ。ゴールドウィンの古めのホテルに滞在してくれ」
「はい…なにかあったのですか」
「イヤ…はっきりとはな。だけど気配で何となくオレにわかる。まえいたアリスシスター。あの化け物が騒いでいる気配が」
「ゴールドウィンに行くのはなぜですかな」
エドガーがクラークにきいた。
「それも…なんとなくだ。向こうが魔力で気配が分かるなら、エカルテにいても、どっちでも意味ないけどな。敵の裏かける気がするんだ」
「わかりました…」
ポールは頭の中で考えていた。
(またそんな女がらみの事件でか。嫌な予感がする)
エドガーがポールにいった。
「お主は祝い事の席とかに喜ばれそうじゃな」
「ホテルのロビーとかな。袴とか」
クラークもいった。



マジックギャルははなしをきいて、きっと目を見開き、まばたきもせずにいった。
「わかりました。この期に及んでは自分の身は自分で守ります」
兵士は数人連れて出発した。

ニュートラルブリッジをとおってゴールドウィンにはいる。



2


やや前…

キルケーがお湯につけてアリスシスターのアリスタンダーの魔力に汚染された魂から毒を抜こうとしていた。
そのとき、アリスシスターの邪気は爆発し、キルケーは気を失った。
大爆発が辺りを破裂させた。

「ファファファファ、この怒りと恨みそう簡単に消えようか」

キルケーを魔法の玉に封じ込めるとアリスシスターは如来のような巨人の半分透明のような姿で宇宙を飛翔した。

                                 

3


ゴールドウィンの古いホテル。
天気はどんよりと曇っている。
エドガーはやはりこなかった。
5Fくらいの高さにある大ホールに兵士があつまってたむろしている。
あれはゴールドウィン軍。
飲み物はウーロン茶と濃縮オレンジジュースが飲み放題の形になっている。
だけど、バカみたいに欲張って飲んでいる者もいない。
ポールはあっちの兵士に顔を知られているかと考えたが、知られていないらしかった。
テーブルとイスがやや乱雑みたいに積み重ねられていたりする。

ポールは壁にある絵をみたりしていたが、ソードショップが1Fにあるのでみにいくことにした。
マジックギャルは自室だろう。

ライデンソードからゴールドエクスカリバーにすると…
剣の大きさと重さが自分にいまいち合わない。
時空警察で開発されたグッド・ソード。
これも剣の厚さがなんとなくあつかいにくかった。
「やっぱり、ライデンソードか」
感覚が同一で、切れ味が違う武器が見つかるまでライデンソードを使うしかなかった。



4


アリスシスターが宇宙を飛び交っていると、バーラルレディの娘が三人集まっていた。
アリスシスターは自分の部下にしようと威圧した。
だが、そのバーラルレディたちは、力が強く、抵抗し、荒がっていうことをきかない。
アリスシスターは火花を散らしたがあきらめて、何体か浮かんでいるバーラルレディヘッドをわしずかみにすると、大急ぎでその場を飛び去った。



5


ポールは定期的に電話をかけてマジックギャルの安否を確認した。
一日二回は直接点呼をとった。

ルームテレホンにでない、携帯電話にかけるとアロマをしているという。
「もう、アロマって軍の経費で出せませんよ」
ポールはお知らせをみると、そんな高くない料金でマッサージとお香のサービスがある。
「うーん、この金額ならやってみるかな」

エレベータ付近でマジックギャルにばったり会った。
「わっ」
「ああ、点呼確認。あんまりうろうろ移動しないで下さいよ」
「わかりました、っ、すみません」

マジックギャルはなぜか思った。
ポールを相手にすると強気で口が乱暴になりそうになる。
「ああ、寝冷えする」
そういってマジックギャルはひきあげていった。

ポールがアロマをうけてみると、気持ちいい。
癒しだった。音楽がリラックスさせ、緊張を解く。
筋肉が弛緩し、剣の重さと恐怖でこわばっている戦士の筋肉を柔らかくする。
緊張や行動の反対、脱力…
眠りに落ちそうで眠らない。
砂時計が落ちて、フゴと気がついた。
「おわりました」
「ああ、ありがとうございます」

半分脳が寝ている。
とろけるような気分で支払った。

その後軍人用の食事を食べた。
脳が居眠りしているので喉につかえそうになって目が覚めた。
(チャリティハンド…)

半分食べ終わってコーヒーを飲んでいると、頭にアリスシスターの叫び声が響いた。
嫌な気分になった。向こうの脳とつながっている。
確かに苦しいのはわかるが自分が悪い。
電波がおさまってきた。
「ああ…」
そのとき、気分の良くなる力強い声が聴こえて来た。
明日がまた来る気分になる。
「エカルテのポールさん?」
みるとネオがややうれしそうに前の席にすわっている。
「え、グレートシティから」
ポールはいったい何があるのか、疑惑を感じ始めていた。



6


クラークは、王間の床に円形のマットをしいて、禅を組んだ。
「おれの精神力による陣」

空から飛んできたアリスシスターはクラークの陣にひっかかり、網にすいこまれるかのようにエカルテに落ちてきた。

「かかったな。何となく予知していたぞ」
アリスシスターもクラークにはかなわなかった。
キング・オブ・キングを使ったクラークに胴体を真横に分断されてたおれた。

アリスシスターは死んだふりをするため、わざとドロドロに溶けて消えた。
クラークたちは勝ったと思い、ひきあげていった。

アリスシスターは魔力でゴールドウィンのホテルの従業員の脳に進入した。
短い時間だったが確実に見えた。
マジックギャルがいる…
あの娘を飲みこみ同化すれば…

クラークなど同化すれば無敵かもしれないが、その前に勝てない。
まずは、今の自分に同化が可能で、手頃な獲物を見つけることが先決だった。



7


ポールは思った。
金を出して店に行けば、サービスは受けられる。
でも、買い物に行っただけみたいな、疎外感に似たものがある。
ボタン押しただけみたいなさみしさ。
もてなされるとか、誰かに用意されるというのは、暑苦しい人間関係のストレスに耐える働きの報酬だ。
両者を分離して手に入れるのはないと。

ヨナタンがやってきた。
「警備のバイトだし」
ネオと楽しそうに話している。

サミットだった。
ゴールドウィン王は新しい方のホテルに集まっている。
デカポリスからきた偉い人と、ブロームインのザール王子など。
クラーク王はあとからゴールドウィン王に話を聞くらしい。

いろいろ話はあった。
力を入れて頭脳を自負し、課題に取り組んでいる知的タワーの勤務者の発案。
それに、協力関係の確認。
もうひとつはネクロポリスに時空警察は一切近づかないことに決定。
その話だった。
【真鍮のカギ】はネクロポリスの門を開く。
奥に、どんな神秘の太古の宝が隠されていようと、アリスタンダーをかるく上まわる魔族がいる、悪魔の本拠地。
力を持て余せば、宝物欲しさにネクロポリスに近付きかねない猛者が多いが、一度ふたを開けたら、簡単に閉められまい。


ヨナタンはジュースを飲みながらいった。
「あっちのホテルみたいだし」
「ハハッ、俺たちはお偉いさんの護衛か…」









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