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2011年3月19日土曜日

かぶき坊主 その二「茶店騒動」

かぶき坊主



その二 「茶店騒動」



茶店でサムライとかぶき坊主が団子を食べながら、茶を飲んでいた。

「ときにお侍さん、刀の調子はどうだい?」

「だいぶ油がとれてきたでござる」

「それじゃまだ、当分脇差一本だね」

「お茶も飲んだことだし、そろそろいくでござるか。親父、お礼はいらないでござるよ」

「僕もお礼はいいよ」

茶店の親父が言った。

「お侍さん。世の中そう甘くないんだよね。

そうゆう客のために用心棒を雇っているんだよね。おい。頼むよ。」

山のようにでかい、山男がぬっとあらわれた。

サムライが言った。

「かぶき坊主殿。ここは任せるでござる」

サムライは脇差を抜くと山男に向かって、飛びかかった。

「必殺 ‼ 脇差十文字斬り ‼」

山男は掌を広げて突き出した。

「ぬん!」

ザシュ!グサッ!

山男の掌が十文字に斬れた。

サムライが言った。

「どうでござる。拙者の脇差十文字斬りはガマの油以外斬れぬ物はないでござ…」

「ぬん!」

山男は素手で脇差をつかみ竹藪の中にほうり投げた。

山男が言った。

「そっちは丸腰。こっちには金棒がある。それでも降参しないか」

かぶき坊主が言った。

「其が参る!」

かぶき坊主は飲み残しの茶を山男の顔にかけた。

「天誅技!茶ノ湯眼つぶしつぶし!」

かぶき坊主はさらに茶碗を顔面めがけてぶつけた。

山男は言った。

「グワッ!卑怯者め。眼つぶしは反則なり!奥の手!金棒叩き!」

かぶき坊主が言った。

「身代わりの術。天誅返し!」

ズドン!

茶店は山男の金棒で元に戻らないほど潰れた。

「身代わりの術とは卑怯な。弁償はお主がしろ」

サムライが竹藪から脇差をひろって後ろから斬りつけた。

「甘いわ!喰らえ!天誅坊主一文字突き!」

脇差は山男を貫いてかぶき坊主にまで突き刺さった。

「グワッ!まさか後ろから来るとは甘く見たわ!ガフッ」

「グワッ!お侍さん。最後に勝ったものが弁償しなよ。ガフッ」

サムライが言った。

「親父、この脇差を売って、店を建て替えな。

ついでにそこの金棒も足しにしてくれでござる」

茶店の親父は言った。

「それはいいけど、お侍さん。刀がなくてこれからどうするんだい」

サムライが言った。

「武士はくわねど高楊枝でござる」

茶店の親父は言った。

「最初から御代を払った方が…

いや、団子を食べずに高楊枝の方がかえってよかったんじゃないですかね」




おあいこ

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