夏の小説祭り
死戦
時空小説一周年記念
1
ダガーは跳躍し、スピリットの頭上からスリープダガーを落とした。
ガッ
霊体だが手ごたえがある。
スピリットはダガーにからみつき、生命力を燃やしつくした。
「バーストだ!」
爆発するかのようにエネルギーが四散した。
アリスタンダーの魔王の剣がシールドをおそう。
「サイコシールドでふせげるのか!」
シールドは楯をかざした、貯蓄したエネルギーが楯の表面をコーティングし、バリアとなる。
ガシィン
サイコシールドは無事だった。だが、シールドはそのまま後ろに吹っ飛ばされた。
どうくつの壁に叩きつけられた。
そのとたん、ぶつかった壁がきらめくように光った。
今、気がついたが水晶の宮殿なのがわかった。
「ぐふ。危ない…」
ザールは縛られたままいった。「シールド!」
「なんともなかったが、次も平気とは…」
サイコシールドをみると蓄積したエネルギーの残量がエンプティに近い。
(やつの魔法を吸収しないと…)
パワースピリットは消えた。
消滅してダガー達が勝利した。
彼女のもとの霊体はバビロンのアロンのもとに飛び立った。
ダガー達は霊玉を割ってダメージを回復した。
パリン
詰め込んだ霊力が放出され、体を包む。じわじわ体が軽くなる。
他の魔法騎士も目を覚ました。
地震がおきてあたりが大揺れした。
ヘビーウェアが魔王の魔力を破って動き出した。
「おおお、魔人が動くぞ!まずい」
2
メガロポリス - ジュール自宅
寝室で寝ているジュール。
ふと、目の前を見ると棚のところに、影がある。
(?なんだ…)
黒猫の形をして、こっちをみている。
月明かりのように猫の目が見える。
ガバ
ジュールがおきあがると、猫はサッといなくなった。
(なんだ!?みはられている。誰に!?)
天界―バビロン
かつてザールに首を切り落とされ、その後アリスタンダーの魔力によりスピリットとなった女の霊は天界のアロンのもとに昇天した。
ちょうどそのころ、カーターの修行が終わり精神世界から出てきた。
アロンが4mの背丈の老人に戻り、地上に戻るカーターに挨拶を述べていた。
「ではカーター殿、地上に戻っても元気で」
「アロン様、ありがとうございます。いったんハーランドに戻り、ゾンビ工場を焼きはらいに向かいます」
アロンがいった。
「わしも、良縁祈願の祈りのおよぶ距離を広めるため、放出する力を上げようと思います」
クピドーがいった。
「ぼくもいくよ、バルハルに」
そのとき、精霊のひとりがスピリットの魂をつれてきた。
一同彼女の亡霊を見た。
アロンが彼女の魂を見ていった。
「名前をマリーサと改め、転生しなさい。ここバビロンで修業をし直すことを認めよう」
アロンの神通力でスピリットはマリーサという女性に転生した。
「ありがとうございます、アロン様」
半分目が覚めないようなうつつの表情で立っている。
「これ、クピドー、バルハルはカーター氏におまかせして、お前がマリーサの修行の面倒を見なさい」
「わかりました、アロン様」
アロンはマリーサに言った。
「…自分が魅力に思う男性は自分の欲望を見て下劣だと思うことがある。自分の願望そのものを忌み嫌うのだ。自分と結ばれる男性は、自分とおなじ心によこしまなアダをもっている。それが結局魅力にみえ、結ばれる。ところが結ばれた後、そのアダを直視すると自分と全くおなじ汚らわしさに嘔吐するのだ。また、アダが男性と一致しない、あるいは男性の潔癖な清い心が結界いとなって恋を阻む。自分の心の穢れ、よこしまな欲を削り落とさない限り、男性とは結ばれん。自分の達成したい願望そのものが汚れていたなら、厳しい修行という形で人生に現れるのだ。私たちが宇宙を創造したのでもないが、宇宙の則とはそうなっている。自然は暖かくも厳しい」
「心の欠点が一致し、清い心がお互いバッティングしなければ結ばれるのですか」
「まあ、そうだ。力のある相手があたらないとて、自分の心のカタが一致しない自分の過ちと考えなさい。それにカタがあわないのに良人のふりをするのは、まず宙に浮く。自分の相方が空席になると考えなさい」
「…わかりました」
「カーター氏、あそこの茶色のチューブから落ちるとハーランドにたどりつく」
「では…みなさん、さようなら」カーターはチューブにはいるとストンと落ちた。
みるとハーランドの城のうらの空き地だった。
3
「おおお、どういうことだ!?四天王のはずの…」シールドが叫ぶ。
ヘビーウェアはまた、アリスタンダーにむかう。
巨大なつるぎと魔王のつるぎがぶつかる。
ドガアアン
どうくつが大地震のように揺れる。
「うおおお、恐ろしいぞ」
ふたたび動き出したヘビーウェアは悪魔の火焔砲を連射する。
「ぐぬぬ!回路を狂わせようと思っていたが!破壊するしかないか」
クエーサーが洞窟内にあらわれだした。
「うごおお、危ないぞ」
集中砲火 8745!!
魔王も砲撃でやられたが、ヘビーウェアはホールからそとにおしだされた。
クエーサーの巨大なエネルギーがヘビーウェアの胴体に直撃し、そのまま巨体を外にはじきだす!
あたりは高熱の吹きすさぶ雷雨と台風のさなかのごとくであった。
ザールたちは全員地面に伏せて、片目を開けてその光景を見ていた。
宇宙空間に放り出された、ヘビーウェアはガタガタに傷ついていたが、自分の意志で天の星座にもどった。
キラン
ザールの戒めも緩みだし、きれた。
「どうする!次は俺たちの番だぞ」
「…王子!魔王は魔力も使い、ダメージをおい、あと一息で弱るかもしれません」
魔法騎士のひとりもいった。
「こっちには霊玉もまだたくさんある!」
「…」
4
「あんまり雲の端に行くと落ちるから」
クピドーがメリーサにいった。
「わかりました…」
精霊たちが大司祭アロンにたずねる。
「アロン様にもこころのアダが?」
「勿論だ。どんなに修業を積もうとアダの形が変わるだけで決して消滅しないだろう。わしにも、クピドーにも、そなたにも」
「アロン様の良縁祈願の神通力は距離の二乗に反比例して弱くなります」
「わしから遠くに行くほど、力は弱まる。わし以外に水竜の神が祈願している。それにな。なにかを極めると、取り柄ができるが別の何を失う」
「バッティングするんでしょうか」
「そうだろうな。いいとこどりにはできていない。アダには様々な形がある」
「どんなに修業を積んでも…単純に楽には」
「だろうな。『いじわるなほど、気のきいたこの世界』といった男がいた。この世界の宇宙はな」
5
エカルテ
突然雷雨がなりだし、すさまじい大音響だった。
「おおなんだ!?この敵の殺気じゃない!敵じゃないのにこの威圧感。ド迫力だ。あのモーニングスターが変化したときの気だ!」
天が開き、大神の声が轟く。
王座の横に立てかけてあった、もーニングスターが輝き、飛び出した。
「うおお」クラークは身構えた。
「おおっ!?またデラックスに変化しているぞ」
1. トールの槌
2. ネルガルスパイク
3. 雷神の槍
4. ホーリーランス
5. ミカエルの斧剣
5つの形状の武器にチェンジする。
「うおお、カンキリみたいだ…」
大神の声が轟く。
「この5つの武器でアルフレットを助けよ。名は…ファイブクラブ・モーニングスター」
「…オレが、あいつを助ける!?」
6
エカルテ
次の日、オーブリーが王間にたずねてきた。
「…アリスタンダー討伐部隊の第二段はまだですか…」
「お、オーブリー」
クラークはファイブクラブをみせた。
「大神の声を聞いたぞ。オーブリー、かなり怒っておられたぞ。さすがに冷静だったけどな、今度ばかりはしゃれじゃすまない雰囲気だった」
「あの雷。激怒していた!?」
「ああ、温情は無理だな」
クラークは手のひらで首をぐぎぎーとやってみせた。
「それに、なにかあせっていたな」
「…」
そのとき、面会に男が来たと連絡がきた。
千年王国から来た旅人だという。
「大神につづいて、いそがしいな」
通された男は長い包み紙を持参し、顔が半分隠れるようないでたちをしていた。
(!…まさか)
「あなたが千年王国からの使者か」
まっ黒い猫をつれている。
「猫が失礼…いかにも、あなたがクラーク王?」
「そうだ」
「親善の証にと」
男は紙を開いて中身を出した。
「それは…アルフレットのアウトセーバー!?」
「千年王国で鍛えた逸品。あなたのお仲間に渡して使っていただきたい」
「なぜその剣を!?」
「もともとアウトセーバーは千年王国の武器…それと親善のためとはいえ、長い歴史の流れでは、あなたの国と戦争もあり得ない話ではないので、念のため。みだりに慣れ合うつもりとも違うので勘違いを勘弁願いたい」
「…そういう国か…」
「では」
男は黒猫を連れてひきあげた。
(まちがいない!?ヘンリーだ。ヘンリー・クローバー!!あの男。死んだはずの。千年王国!?)
オーブリーは唖然として後姿を見ていた。
7
天界 バビロン
大司祭アロンがクピドーにいった。
「焼き肉の宴会をもよおすから、お客さんを二名、招待してみなさい。来るとは限らないが。こなかたったら、別に二名招待してみなさい。それでこなかったら、我々だけでやろう」
クピドーは考えた。
「うーん、このあいだまでいたカーター氏はどうだろう。ここでなじんで無難だし、少し前までいた。だけど、ゾンビ工場との戦いの仕事がある。呼びだすと不躾かもしれない。バーラルレディをたおした、クラーク氏はどうだろう。かれはどうやら、エカルテの王さまらしい…」
調理係の精霊がマトン肉とラム、牛の肉を用意した。
牛と羊を屠り、血を抜いた。
雲の上に浮いた氷山のような岩山を平らにした天界にテントが張られた。
惑星バルハル ハーランド
クロニカル殿下に挨拶すると、彼は鎧を鍵をかけた倉庫から出してきた。
「この鎧はイスカンダールの鎧。かつてアリスタンダーと闘って敗れたという優将。これをもっていきなさい。きをつけて」
「殿下、感謝します」
エカルテ
アルフレットが二本の刀を担いでさわいでいた。
「クラーク君、いつからうちは二刀流になった!?」
「はしゃぐな」
オーブリーはクラークの傍らに突っ立ったまま沈黙していた。
(ヘンリー…やつは気がつかなかったのか?ぼくに)
8
アリスタンダーの洞窟
ザールが飛びかかる。空中で器用に何度も動き、ショットを浴びせる。
「ホッ」
ザシュ 1978
さらに弓矢が無数にとびだしてつきささる。
「ぬうう」
小矢の雨 784
ザールは着地した。
「よし」
魔法騎士が勢いづいてフレイムボムをはなつ。
フレイムボム 541!!
魔王のゆびさきにマッチのように火がともる。たちまち、火焔が燃え盛り、直径1mもの大火球になった。
ドン!
「オ、オレと同じ…」
言葉の途中で魔法騎士は大火球に焼かれ、一瞬で石灰のようになった骨とライデンソードの焼け焦げに化けた。
煙が上がっている。
「う、おおお。死んだ!?」
「ホントに死んだぞ」ザールも慄いた。
さらに魔王のつるぎが魔法騎士のひとりを襲う。
ドガ!
胴体がちぎれ、壁に向かってとんでいった。
「ああああ、あれでは!もう助からない」
シールドも怖じ気づき始めた
「もう無理だ、わたしでも楯がなければ同じことになっていただろう」
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9
ザールが叫んだ。
「逃げるぞ!一気に宇宙船まで走れ」
そういうが早いか、兜につけてあったサンダーバードの羽を抜いて投げた。
「おおおお?」
すさまじい雷鳴と輝きとともにサンダーバードがあらわれた。
洞窟内で羽ばたいている。
≪わたしが、くいとめている間におにげなさい!≫
ザールたちは走った。
「すまない!恩にきる」
サンダバードの雷 5123
ザアアアアンンン
あたりは電子のスパークでまともに目が開けないほどだった。
「ついたぞ」
ザールたちは慌てて船にのった。
すぐ後ろでは大音響がとどろきわたる。
あたりは、ものすごいビートで振動している。
エンジンを始動し、スタートした。
宇宙空間に脱出した。
四人はもう助かったとほっとした。
飲み物でも入れようかと思ったとき、ア―クトゥルスが宇宙空間に浮かんでいる。
「うわあああ!!」
青い雷雨
ザールの宇宙船は破壊された。
ア―クトゥルスは消えた。
時空警察のパトロール船に救助され、ブロームインのエアポートまで運ばれ、そこで入院した。
サンダーバードもテレポートして山に戻っていた。
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