玄関からこぼれる明かりは、
あたたかそうな。
あっちであたたかくやっている。
ふところの銭だと、ここにはいるとほかにはいけない。
こんなあぶく銭もなけりゃ、あかりもすどおりか。
どうせなかは白木の日本料理屋。
びしっとしてもらって、きちっとくえる。
はいると「おまえちょっといってこい」?
上は寿司屋の宴会場か?
それにしてもずいぶん急な白木の階段。
きちんとした部屋だけど、道場の殺気だねこりゃ。
あたたかいあかりがめにしみる。
ガラと戸が開いて、宋次郎みたいな若い男が、
やけにうるおいきれいな着物を着て、長細いぬのずつみをして。
おしいりして、ごういんに割り込んでくる人と違って林として上品だねこりゃ
「こんばんわ。おひさしぶりです。」
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