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2014年12月2日火曜日

World planet huger ワールド・プラネット・ハンガー 5







5


World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界











16 スロウとセバスチャン


アレクセイは「バカ野郎が!」と怒鳴ったが、体がガタガタ震えていた。
アーベルはいった。
「ホウ、セバスチャンにおさえつけられて、まだそんな口が利けるのか。おもしろいな。帰っていいぞ、首都まで気をつけて帰れよ」
「フン、てめえに心配されると余計具合悪くなるぜ」

アレクセイはバスにのり、長い道の帰路についた。
ひさしぶりにひどい目にあったと、考えていた。

スロウがアレクセイの変わりにアーベルの部屋に入ってくるなり土下座した。
アーベルとスロウはしばらく何か話していたが、アーベルは怒りだしていった。
「くだらん、そんなのは愚問にすぎん!」
スロウはまだ、なにかいいたそうだったが、悲しそうな顔をしてあきらめるしかないとひきあげていった。

セバスチャンはアーベルに訪ねた。
「アーベル様。どうしてスロウにああいったんですか?ゲノスのときは『オレにもわからんから、お前が自分で考えてみろ』とおっしゃったのに…」
「フン…」



17 旅が終わってくつろぐ


色々あった旅だが、アレクセイは帰ってきた。
マチルダたちも久しぶりに会うと暖かかった。
危険な旅から帰ってからのアレクセイは状態のいいのが続いた。
ストリートリッチというマチルダから渡されたブランデーは帰ってきてから栓を開けた。
ペチカ(暖炉)の火は暖かかった。赤外線が燃えているマキから飛んできて頬をあたためる。
旅の疲れが心地よい。気が重い旅は終わって帰ってきたんだ。
色々あったが…
グラスにストリートリッチをとぷとぷ注いで氷を入れて飲んでみた。
「うっ、キツイ」
舐めるのが敵度で、すぐ栓をした。
「こりゃ、簡単になくならないぞ」

でも、からい酒をなめていると、くつろいだ気分になる。火のように火照るが舐めるのを止めると引いてくる。

危険を乗り越えた、安全なのに快適なのがしばらく続く。
アレクセイはマチルダとテレビ放送をみたり、仕事をしたりして過ごした。

ある日、コンビニででかい菓子が売っていたので買ってきた。
フーセンガム入りのプラモデルだった。
楽しそうに箱を開封する。
板の長方形のフーセンガムが二枚はいっている。
ガムをかみながら組み立てる。
設計図がはいっていて、それをみながら、模型を組み立てた。

シンプルな設計図は飾り気がなく、貴重で高価なものに見えてくる。
「できた」
子供のプラモなので簡単にできた。
「どうせなら」
工学とか技術的に計算して組み立てる模型などあったらいい。
図鑑ならありそうだけど。
重さが二倍になると……数式を自分で解いて、羽やプロペラをどのくらい長くして…モーターや電圧を計算したりして…
実際に風に乗せて飛ぶおもちゃ。
「飛行機が実際あるんだから、計算式もあるんだろうな。知らない奴が組み立てるおもちゃより、うまく飛ぶんだろう」

ああ、自分たちは宇宙空間に原子力発電とかいって、そういうことをやっている。
ただ、アレクセイは学者でも、プログラマーでもないので自分は計算しないが。
手の込んだプラモくらい、自分で式を立てるのがいい。
パズルを解くくらいの労力で模範解答つきの設計図があったら楽しいだろう。
物理の問題集なら、労力が重すぎる。実戦だろうあれは。
さらにいくと回答のない問題をメンバーの設計者たちは計算しているんだろうな。だから失敗した。失敗からもデータをねこそぎとれって、あとになってコンピュータに入力していったな。

未知のブルーオーシャンの世界の計算を基礎から進んでいくと、誰もできなかったことが達成できるようになるんだろうな。でも、労力が半端ではない。パズルくらいのおもちゃがあれば…

人間、辛抱して計算とか手作業とか、ワークをこなしていくと、でかいことができる。
我慢しないで爆発してたら楽だぜ。
でも、そこで自分の限界が終わる。
辛抱して何かやっていると、自分が大きくなるかもしれないが、『殴られて耐えてます』
みたいな気がしてくるのも事実だ。
あるいは、でかくなったからって、アーベルってやつみたいに人にひどいことしたくねえ。
かといって、何かやったら、それで稼ぎたくなるのも事実だ。
対価を得るくらいいいだろみたいな。

学校の教科書なんかいくらなんでもおもしろくない。
面白がるものじゃないんだ。
たぶん、オレが思うに辞典や辞書は教科書のさらに上にランクされるんだぜ。
ストリートリッチみたいなブランデーみたいに、教科書を適度に薄めるとおもしろいおもちゃになる。どうやらそうなんだ。
いくらなんでも大人になってくると、子供向けのマンガでもおもちゃでも対象年齢に無理があるよな。
おもしろくないぜ。ガキのとき楽しかったけど。ってなる。
面白いわけない教科書と混ぜると、ほろ苦いチョコレートみたいにおいしくなるんだ。

ネットでみるGIF。画像だけど動く絵みたいなやつ。
絵だとメカに感じないけど、動くGIFはメカをほんのり感じる。
いくらスポーツカーの写真でも、かっこいいけどメカじゃない。メカの写真なんだ。
原論とか原理みたいなレベルだと、静止しているモノと動いているモノで大きな分岐点なんじゃないのか。
時間軸のあるなんとかみたいな。
ほんのちょっとでいい。
動いているGIFはメカっぽいんんだ。
YTube(ワイチューブ)の動画はなぜか、動くけどメカと感じない。
あれは、コントローラでコントロールがある程度できたとき、メカを感じる。
そう確信した。
物理のように、あるいは世界を作る精神でいうと「動く」という分岐点。

数学者はないことを話すかもしれない。
物理学者は現実の話をしている。
「わたしは現実の存在について話している。あなたはないことを話す」
「対象が存在なくても、造ればある」

でも、造りかけのパラレルワールドがどこかにあるのかもしれない。

……CD(音楽レコード)いくらでも買えるとなると、頭おかしくなる。
ところがYTubeでいくらでも聞き放題でおかしくなるやつはいない。
ふーむ。
小づかいがあって買えるっていうのは自分だけの特権だからだ。
音楽そのものよりも。
ところが誰でも聞き放題だと、みんなそうだから、大して問題にならない。





18 マチルダの仕事



帰ってきてから、だんだんアレクセイは操縦するのがハンディコンピュータからマチルダたちメンバーになって大きいものを運転しているという感覚になった。
夜に公園のような城の庭にたたずむと、自分が運転するには大きいマシンだと感じた。
庭にある彫刻がどっしりとして迫力に感じる。
単調な像のようでいてみあきないのかもしれない。
それが終わると、だんだん、うっとうしく感じて、簡単に操縦できるハンディコンピュータに閉じこもりたくなってきた。

ある日、ホビンとアレクセイが話しているとマチルダがはいってきた。
スピカが声をかけた。
「マチルダ。もう楽にしていていいの?」
「いやいや、2時間休憩。そのあとまた仕事にもどるわ」
「なんの仕事をしているんだよ」
アレクセイが訪ねた。

「印鑑を書類についているわ」
ハーモット伯爵がやってきてお茶を注文した。
「そりゃ、役人や大臣がいくらなんでもいるよな。オレたちなんか『口から出まかせ部隊』だぜ」
アレクセイがそういうと、ハーモット伯爵はいった。
「各部署は当然ある。機能もしている。だが、さじをいれなくていいわけでもないぞ」
「オレたちは役所に雇わられたかもしれないけど、国王じゃないぜ。マチルダこそ女王の席にいるけど」
アレクセイがそういうと、ホビンがいった。
「アレクセイなんか、マチルダ様の補佐とか友人役なのでは、マチルダ様が男だったら…」

「口から出まかせ部隊というより、なんでも役所じゃな」
そういわれた。
マチルダによると、吟味して各部署から上がってくる書類にハンコをついているので一日に処理できる枚数に限りがあるという。
「どんどん処理しても、たまっていきます」
また、あるときは造幣局から新紙幣がおくられてきて、国の認印をマチルダがついた。
「あのときは午前午後と5時間くらいかかりました」
「札束全部にはんかよ?印刷だろ」
「特定の見本の札にだけ手で押す。マチルダ様の精神力と認証を印鑑で注入するのだ」
「のこりは印刷で」
「そう」
「経済がよくなるといいぜ」













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