『鎧の騎士』
伯爵の唯一の道楽は骨とう品集めだった。
新しく手に入れた、騎士の鎧を骨とう品部屋に飾ると、
うれしそうに眺めた。
娘のアンナは「お父様はまたどこからか、
変なものを集めてきたわね」と言った。
ある晩、夜食を食べた後、
骨とう品部屋を覘いた伯爵はコレクションの
一つである古い草稿をめくっていた。
ガタガタいう音が聞こえ、驚いて振り向くと、
騎士の鎧が動いてこっちに向かってくる。
鎧は、スピアで伯爵を突いてくる。
伯爵は壁に飾られている剣をとっさに手にすると、応戦した。
鎧の騎士は動きは鈍いが、執拗に伯爵に攻撃を仕掛けてくる。
(やられる…!!)
そう思ったとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「お父様、騒々しいわよ。何を騒いでらっしゃるの?」
ドアが開くのと同時に、
鎧の騎士の動きがとまって、動かなくなった。
伯爵は剣で鎧を突き刺した。
鎧の騎士は激しい音を立てて、倒れた。
娘のアンナが驚いていると、伯爵は注意深く鎧を調べた。
鎧の中からは4年前に死んだアンナの夫の死体が出てきた。
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