二層式洗濯機置き場のさりげない恐怖
昭和40年代。
さびれたコインランドリー。
夜の2時半にやってきた二人。
「やめてくださいよ、営業マンさん。オレこういうの本当に怖いんですよ」
「俺じゃねぇよ。こんな恐ろしいことできるかよ」
「誰ですかね。ただでさえこんなさびれたコインランドリーなのに」
「和風人形だよ。ヤバいよ。
人形って人の形してるだけで魂っていうか人権があるんだよ。
うかつに動けないよ」
「…」
「…」
「いや、落ち着かないですよ」
「なんか緊張するよな」
「ビールとかないんですか」
「ない。いや、怖いと思うからダメなんだよ。
「うわわわぁぁあああああ」
「脅かすなよ。だからビビンなっての」
「いやそうだよな、ホント。仲間がいると思えばいいんですよ」
「だからさっきからそう言ってるて」
「洗濯終わりましたよ」
人形を拝む営業マン。
「俺たち帰ります。じゃあまた今度きますので」
0 件のコメント:
コメントを投稿