二層式洗濯機置き場の謎
昭和40年代。
しなびたコインランドリー。
瓶ビールで乾杯する二人。
「いや、ここでくつろげるのもあと少しかもな」
「本当に建て替えちゃうのかなあ」
「おまえ、奇妙なことに気がつかないか?」
「なんですか?」
「おまえ灰皿一度でも捨てたことあるか。
今だって飲んだ空の瓶だれが後始末するんだよ」
「いや、一度もやったことがありませんねぇ。
昼間のお客さんがやっているんじゃないんですか」
「おまえそこの張り紙みてみろ」
「うわわゎゎゎわゎわあああ」
「汚すばかりで掃除しない人。お前だよ」
「クジラの缶詰がまずくなりますよ」
「つまり、一番気兼ねなく汚す人が一番くつろげるんだよ」
「でも、ちゃんとお金はらっちゃってますよ」
「まあな。でもこれから清掃員が入るんだよ。
常に片付いているとゴミ散らかせねぇんだよ。たばこの灰も落とせない」
「気づまりですよそんなの」
「バカ誰も片づけないとこんな汚さじゃないの。ホントに人も暮らせない」
「暮してませんよ」
「新しい開拓地を探せよ。大学の空き部屋とか」
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