アガメムノン もしくはネクロポリス大戦記 (15)
1
「こんなもんかだと」
ウッドデッグとアルフレットはまた間合いをあけてしゃべりだした。
「このウッドデッグは半神、半神なのだ……!!」
「ほう、半神だったとは」
「半神、半妖のわが身…」
「神になったとしたらどうなのか?」
「神を自分でやるととんと力が及ばないのだ…半神になりたての妖力」
ウッドデッグは戦いを停止したままなおもしゃべりだす。
「外部の環境…外界をコントロールする様になる。観察し、自身の体調に合わせて、自分の内部の都合を考えた上で」
「それで?」アルフレットはきいている。
「ステレオのイコライザとかつまみをいじってちょうどいい環境にするように…クーラーの温度を敵度に合わせるようにコントロールできるまで成長する。すると」
アルフレットは立ったままきいている。
「すると…あとにくるのは無だ。自分で書かない限り無になる。外が与えてくれるシナリオをコントロールして打ち消せる罪と罰なのだ」
「なるほど神対決というわけか」
青い顔をしたウッドデッグは剣で襲いかかてくる。
「アウトセーバー」
アルフレットが叫ぶと、雷鳴の爆音とともに大きな刃のついた剣がにぎられている。
ステファノ 「どちらも剣と楯だ」
両方とも剣と楯で防ぎあるいは剣同士がぶつかり、とびさがり、のしかかったりをくりかえした。
退屈な試合だとも、一般的な打ち会いだともいえる。
会場は適度にざわめき、視聴者の関心はまあまあだった。
ウッドデッグは敵の金髪は自分よりややでかい。
奢ってやるには簡単な相手に感じない、かといって一刀両断するのも難しい相手だと感じていた。
アルフレットもなにか魔界の青い顔の青年にサービスをしてやりたいが、自分との実力差では難しい。なによりお互い本当の力を押さえている。
なんだか、小難しく、下手をすると陰険になりそうな戦いがつづく。
お互い優雅な闘争のようにはいかない力の差だったのだ。
おさまりの悪い関係でもあるが…みている客はそう無様に映らない。
どちらも正々堂々とした、さばけた心をしていた。
だが、退屈で窮屈でもある。
アルフレットはスピードボールを生みだし、走らせた。
びょんびょんびょん
ステージの上を高速のエネルギー球がはじけまわる!!
ウッドデッグは万が一のために楯をかまえ、半分神経をアルフレットからはなさなかった。
ズガン、至近距離で爆発した。
「おかえしだ」
両手に剣と楯を持ったまま、念のみでフレイムボムの火球をつくりだした。
ふぼん>。
ゆっくりとアルフレットにむかう。
アルフレットは叫んだ。「排気ガスすってヒーローやっているやつと、排気ガス吸ってもらってヒーローの違いをみせてやる」
アルフレットシールドでうけとめたが、楯も失った。
「こんなもんだろ」
鉄のように硬かった楯が柔らかいゴムのようにとろけ、最後はスライムのようにドロドロになって地面に落ちた。
アルフレットは跳躍しておそいかかった。
両手でアウトセーバーを握り切りかかる。
観客からはため息と声援、興奮する声、罵倒する声、何か飲み物を飲む音がする。
アルフレットは鎧を着ていない。
服が破けて肉が裂けたが血は出なかった。
ウッドデッグはアルフレットの剣をかわしていた。
「ニャ…」
二撃目!
ビッ
アルフレットは傷口をふたつつくる。
「おー」観客は興奮する。
2
観客のひとり、客席に虎のぬいぐるみの帽子をかぶった人がいた。
彼は大人しく観戦していたが、声を出して戦士たちにさけんだ。
「おー、ヒーローちょっとやったからって教室の入り口ふさぐなー」
そしてしばらくもぞもぞしたいたが、「炭酸水でも買ってくるか。ただ酸っぱいだけのやつ」そういってポケットをまさぐった。
「いさぎよくいきたいな…」アルフレットはそう剣を構えていった。
ウッドデックは半分気前の良さそうな笑顔でこたえた。「フン、じたばたもがきたくないとみえる」
虎の帽子の男はメガネをいじりながらおもった。
(聞き分けのいい営業マンがいないみたいな感じだな)
エドアール 「まったく、文学相撲だ」
アルフレット 「文学相撲も終わりにしてパワーでいくか」
アルフレットはアウトセーバーをはなすと、彼の剣はアルフレットの前でくるくる宙で回転しはじめた。
ウッドデッグ 「なにをするきだ…」
アルフレット 「ぬうううううん。スペースブレイク」
ゴウと小宇宙がアルフレットの両手からこぼれだして回転しているアウトセーバーに飲み込まれていく。
ゴウウウウンン
アルフレットは剣をキャッチすると構えた。
「いくぞ、スペースブレイクショット」
剣の刃に幻影のようにすっきりする宇宙空間の残像がうかんでいる。
ウッドデッグ 「小宇宙のエネルギーをまとったか」
アルフレットの片方の肩にある肩あては奈落の肩あてだった。
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