11
World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー
閉ざされた世界
42 そして…
一年後…
聖堂でひたすら祈りをささげるマチルダ。
ひざまづき、祈り、一年前より少し髪が長く伸びた。
「……………ますように。アーメン」
そのとき聖堂に進入してきたものがいた。
「誰です」
厳しく言い放つマチルダ。
「お祈りですかあ、?マチルダ様。そりゃご結構だ」
相手の男はウオトカで酔っ払っていた。
「聖堂でつつしみがないのですか…」
「ですがね。王女様。王女様が来てだいぶたつ。主都はこのとおりさびしいままだ。いつになったらおれたちは豊かな暮らしができるんですかね。太陽は暗いままだし」
「私が悪いというのですか」
男は肩をすくめた。
そのときアベン神父がはいってきた。
「どうした?悩み事か。私が話を聞こうか」
「いえ、結構です。帰ります。ごきげんよう神父様」
そういって男は帰っていった。
経済状態は良くなっていなかった。
それどころか、アイアンヘルムのいう藩、まとまりのある地域同士の小競り合いが事変より大きいが戦争までいかない程度にぼっ発していた。
「ありがとうございます。神父様」
「いや、わたしも…」
「え?」
「いや」
「しかし、アルヘレンがよくなっていないのは事実です。アレクセイもどうするのか」
43 あいかわらず
スメルジャコフはこのときすでに帰っていた。
コメットもどこかながれた。
アレクセイがソーセージパンを喰いながらいった。
「まったく、戦争の時代を見ろよ。本でさ。軍人が国王のように偉くなるんだ。国全体の職務で必要ごとのパーセントがでかい仕事は自然とそうなる」
ホビンがいった。
「石炭を掘る仕事とか、昔はでかかったらしいですよ」
「そうだぜ。でも戦国時代だぜ。うれしくないだろ。俺なんか将棋みたいに軍隊を動かす能力があると勘違いされることが多いんだ。やめてほしいぜ」
「そりゃチェスとかゲームと違いますよね。シュミレーションゲームできたえたって」
「空も、蛍光灯をつけたくなる日が多い感じだぜ」
「LEDに切り替えた方が燃費に換算するといいのかも」
44 夢から現実へ
アレクセイは理論の先に進むのをやめて工学への道を選ぶ。
それは大人になるということを意味し、現実に対して目を向けるということだった。
だが、同時にそれ以上上野理論は追及できない。
話の流れは、現実的な工学を選んだアレクセイたちは一躍大金を稼ぐ組織へと変化する。
いくら力を入れても金が手に入らなかったアレクセイはいわば進学のために賃金をもらわなかったかのようであった。
研究者など無給や薄給をのりこえて勉強や研究し、高い理論を会得する。
シュレディンガーやフロイトも給料の安い研究員を一時あきらめている。
結婚したためだ。
一流組織のように華々しい生活に入る。
そして開発した技術は惑星アルヘレンで見たことのないものだった。
だが、何年も年月がたつと古い技術となり、アレクセイたちの優位は衰えてくる。
そのとき、アレクセイはどう戦ったのか。
そういうストーリーになっていく。
45 アイデア
アレクセイがイスにくつろいだ姿勢で腰かけていった。
「スキーとかスノボーとかってサッカーとか野球と少し違うんだな。物理的に斜面を降りるから物理的に怖いだろ。バスケとかでも、死ぬほど負けるわけにいかないとかじゃないと怖くない。ぶつかったり故障とかはあるけどさ。人間関係のストレスの怖さと違って、自然がそうさせるからなんだよ、スキーとかはさ。無機質でさっぱりした怖さというのか。格闘技とかも怖いけど対戦相手が動くから怖いんだろ。仕事でも危険だとか恐怖を伴う任務だと手当が出たりするだろ。あれなんだよ。人間怖さに屈しないものに尊敬したり、とにかくはらうんだ」
「ほう」
「スノボーとかって斜面下るとき作品を描くみたいな気分になる。ただ滑っているだけと違って怖さに抵抗しているから見物しごたえがあるんだよ」
「ふうん、なるほど」
「人間関係の怖さでほめられてもさ、具合悪いのに褒めてないで助けてよってなるだろ!?」
CEOの勇気は、その居心地の良いオフィス。
スノーボーダーの勇気は、ひとえにその滑り。
【時空小説】
「この漫画小説みたいに、絶望的な戦争じゃなくても、絶望的な急斜面をおりたら非壮的ですね」ホビンがいった。
「初心者のお客さん降りられないぞ」
そのときマチルダがはいってきた。
「アレクセイ。そんな話ばかりしていないで、これからどうするのかよく考えてください」
「なんだよ。おれは政府じゃねえっていつもいっているだろ」
「ですが、ここで働くメンバーです」
「…まあ、アイデアがひとつあるにはあるんだが…」
「!本当ですか、アレクセイ」
そのとき、アレクセイの耳に気がつくかどうかのテレパシーが届いた。
スメルジャコフの電波だった。
《体育をさぼったな…アレクセイ!そんなんじゃ、大金稼ぐことになっても胃が苦しくなるぜ。金の重さが胃にこたえる。横っぱら痛くなるの我慢できないほどランニングしなくちゃ、大金持ちになれない…なっても身が持たない…アイアンヘルム様がお前にお会いになられるぜ。テレパシーなんかすぐクラッシュするんだ。じゃあな、また会おう》
46 まるでユング心理学のような
人間、百、いや千、万、億の数の目があるとする。
生まれてから生きていて、だんだん怖くて目を閉じる。
とじている目のパーセントが多いと、にぶく怖くない。
開いている目は真に見る。
だから怖い。
だけどかっこいいんだ。
その歳になってまだ目を開いているのかこいつみたいな。
目を閉じているやつはかっこ悪い。
いろんな楽しみも、感覚器官が閉じているから楽しめなくなっていく。
ユング心理学の続編のような話だが、この仮説を信じるだろうか。
別に信じなくてもいいが、アレクセイはそれを信じた。
「完全にあたってなくても真実の一部には該当している」
そう確信していたのだった。
アイアンヘルムも同じことを考えていた。
いや、目を閉じると剣のキレが鈍るぜ。
確実に…しかし、怖くて剣を握れないんじゃ話にならない。
うまいぐあいに、ちょどよい加減に目を閉じるんだ。
それに、目を閉じれば閉じるほど、真実に気がつかなくなる。
みえなくなっていくんだ。
目を開いているのにこのクソ度胸。
あいつに会って、感じた。
アイアンヘルム。
鉄人だぜ。
オレにいわせると、勇気。
あれがあると目が開いていても、恐怖に屈しないんだ。
だけど、勇気って何だ!?
最初からそれが豊富に与えられている奴の勝ちだぜ。
そんな単純にできてないか自然は。
いったい勇気ってどうやって手に入れるんだ。
どこからふきだしてくる…?!
0 件のコメント:
コメントを投稿