アガメムノン もしくはネクロポリス大戦記 (1)
1
美の小箱が時空警察よりグラウディウス帝国に献上品としてさしだされた。
アルアロリアがうけとることになった。
今年の受勲がおこなわれる。
功績のあるものがグラディウス皇帝により表彰される。
さまざまな部門があり、賞があった。
メダル、トロフィー、賞状など…
帝国の民衆の中では、もらう相手がグラディウス帝ではありがたみがないだの、悪口を言う声も少数だがいる。
受賞できる優秀なものにかえってそういうのが多い。
野心家は「とってかわろう」とたくらんだりしている。
「はるか高き」皇帝なのか、自分と大して違わない皇帝なのか。
ペリクレスのごときなどは、賞などもらうに値しない代物である、と強がっている。
だが、やはり話題として注目がおおきく、功績のあるものにとっては人数の多い帝国で浮かび上がるために重大な発電力をやはり持ってはいる。
人が注目し、多くの人が認めるというのは力だ。
グラディウスの皇帝としての優秀さは標準しているが奇抜でないとの評価もある。
もちろん、受勲を泣いて喜ぶ受賞者もいるし、所詮は人が集まってやっていることである。
老王ロームルスが代表してほしいという、「創始者」よりの派閥も存在する。
帝国の創始者か初代皇帝か、みたいな論議は帝国の活字新聞で論じられている。
あまり余計な話が長いと読者が逃げるので、いつもの話にもどる。
ともかくグラディウス帝国は沸いた。
懐が寒い方面のものも、温かい話題をありがたがったり、非難したり。
付録つきの欲しいものが固まった雑誌をひらくみたいにある種の楽しみでもあった。
トバクのようになにか人の気を引くイベントであった。
名誉あるTVのように、「その枠」に映ることはステータスでもある。
それを判断するのは誰か一人でなく、見ている側の帝国の全員の得点判断なのだ。
グラディウス本人にすれば、支持率は欲しいが恐怖政治をしいて強要するのも現実の帝国では通用しない。紀元前の世界でないのだ。本人としてもまずまずが続く。
アルアロリアだが、帝国が気を利かせた。
巨大施設内でやぐらを組んで表彰式が行われる。
アートの作品みたいにフレッシュだが、アルアロリア本人がでるのはまずい。
侍女のマルジャーナが本人の代わりに顔をヴェールで隠して賞を受ける。
だが、都落ちじゃないが、もし地位が転落したとき、「お高く」とまって誰も助けてくれなかったとしたら恐ろしい。
ポテンシャルの高い行為をしているが、リスクも高いのであった。
どんな仕組みの社会にしたところで、人間の人数がいる行為である。
国というつくりものは、対人間関係のじりじりしたものがつづくのだろう。
SFの世界でもそれは変わることができない。
2
マンデンブルー大佐が少人数の会議からおりてきた。
「うん、誰か帝国に行ってくれ。受賞するわけじゃないけど、観客として見学だ」
ジュールがいった。
「ぼくがいってもいいけど…」
「ヴィクターは?気まずいか」大佐はそういった。
「あとは、セド、テモテ、エパフロデット」
「まあ、誰でもいいがな」
一方、アルアロリアは。
「まかせてください、アルアロリア様。このマルジャーナ、女性パイロットのおもむきがあります。ゼロ戦に乗るのを楽しみにする趣向がぬぐいきれません」
「わたしもついていくけど」
「マスコミの対応は…」
「おめでたい行事ですが危険も多数あります」
「今の帝国ですと、誰も難癖をつける人はまあいないかと…」
あまりアルアロリアは注目されていないのと、ヴィクターとの結婚がめでたいので、何とも言えない環境であった。
3
ジュールが届いた梱包をひらいていた。
今、グレートシティ周辺で話題のコンピュータだった。
そのキャッチコピーは「僕の部屋にエイリアンがいる」だ!
あまりの異質な情報と新規技術により異世界の宇宙生物がいるような異質さだという。
「氷点下のドライアイスのような氷漬けの情報の塊のマシンだっていうよ。どれどれ」
部屋に置いておくと気になって眠れなくなるという。
次世代にチューンされたマシンだ。
4
美の小箱はガルム犬と戦士たちとの戦いで得た戦利品だが、とうとうアルアロリアの手元に。
「さあ、アルアロリア様、あけてくださいまし」マルジャーナはうれしそうだ。
無言でセテカもうなづく。
「あけるわよ」
ピカと小粒のダイヤのように鈍く光った。
だが…
なにもおきなかった。
「普通のお化粧品と同じくらいかしら」
「さあ…」
だが、美の小箱の力は徐々にアルアロリアに定着していった。
そして、禍も徐々にゆっくりと進行していった。
5
グレートシティに流れ星がふった。
ステファノはキングレオビルのオフィスであくびをした。
「ああ、昨日寝るのが遅かったからウトウトするな…」
ハッと目が覚めた。
「この妖気は!?甘い香りが混じっているが強大だ。なにがあったんだ」
ジュール達が対応に追われていた。
「女性の隊員を集めて!」
一人の女性がグレートシティに飛来した。
ただいま時空警察の中核にいる。
マンデンブルー大佐がいった。
「あれだ、VIP応対用の婦人警官を呼んできて」
別枠採用のVIP相手に応対する専用婦人警官。
特別な試験と面接をくぐったエリートだという。
レイヤー 「わたし、その試験に落ちたのよ。特別枠の採用って何?」
ジル、レナ、マジックギャルが呼び集められた。
ジュールがいった。
「…もしかしたら、われわれは君の姿を見ているだけで咎められるのかもしれないよ」
「いえてる。ネクロポリスのお嬢様だろ。こんなところにいたらまずいだろ」
ヴィクターもいった。
マンデンブルー大佐が来た。
「VIPルーム用意できたから案内して」
婦人警官が来て「さあ、いきましょう。お部屋が用意できました」
彼女は素直に従った。
「テモテ…おまえのサイコテレフォンで魔界に電話かけろよ」ヴィクターがいった。
「ええ!?ちょっとまってよ。サイコテレフォンなんてすぐフリーズするんだよ。そんな異世界なんて。携帯電話がちゃんとつながるのなんて月々通信料とられているからだよ」
大佐 「ネクロポリスから通達は?」
ジュール 「いえ」
ヴィクター 「下手な対応するとドンパチかもな。ステファノのマックスバリアで故郷まで安全に送迎しろよ」
ステファノ 「ハハハ…マックスバリアを自分以外で包んだことはありませんが、今度やってみましょう。でも、その役目はヴィクターにゆずりますよ」
大佐 「たしかに、よほど偉い人の娘だというのは確かに感じられる」
テモテ 「でも、そういう問題もあるかもしれないけど…たしかに普通じゃない高貴さだ。でも、ネクロポリスって魔界だよ。悪魔の巣窟」
ヴィクター 「それだよ。ネクロポリスって知能のない魔族が恐竜の世界みたいに暴れ回って戦闘しているんじゃないんだな」
大佐 「反対に高度に発達していそうだ」
エパフロデット 「だとしたら怖いぞ。凶悪な魔界の人種の上、高度な文明」
ジュール 「異世界はいくつもあるし、文献にある半分架空の都市もきこえてくるよ。でもネクロポリスの存在なんてつい最近だ」
ヴィクター 「ああ、大神の世界とか千年王国とかあるけどな」
ジュール 「魔王の巣窟か…」
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