アガメムノン もしくはネクロポリス大戦記 (9)
1
アルクレオン王子はサラマンダーに呪文を使わせて見た。
≪望みの通りに≫
サラマンダーはファイアーボールの呪文を使った。
あっ!というまに火球が炸裂し、野っぱらを焼いた。
王子は満足だった。
さらに、サラマンダーはフレイムボムを使った。
グアアアンとうなり、一個の大火球が燃えさかり飛ぶ!
「いいぞ」
もう一回と催促するとサラマンダーは首を振った。
≪代金と、なんでも金に例えるのは良くないが、代償をあなたからもらっているが底をついたようだよ≫
「代償ってなんだ?」
≪おそらくはあなたの勇気だ。魔力はぼくが負担して魔法を使っているけど、勇気をあなたから奪っている…ガガ、おかげで勇気が満ちているぼくは≫
「そういえば」
王子はさっきより臆病になっていた。
「おまえたちを使うと代償に何か失うのか」
≪そういうわけさ、そのときによるし、僕らもそう意識していないからはっきりしないけど≫
ウンディーネを呼びだして見た。
≪およびで…≫
「何か魔法を使ってみてくれ」
≪ヒールフロウ!≫
王子の治りかけの傷が完治した。
どうやら代償は“身分の高さ”らしかった。
そのあと王子は門番の兵士やら、姉上やら父王に失礼な扱いをいつもの何倍も受けた。
なんというのか、頭を無礼にポカポカなぐられるのだった。
「こりゃ、よく考えないと四代元素の精霊は使えないぞ」
2
王子はシルフを呼び出した。
「なにかやってくれ」
≪いいわ、特別に…気分がいいから≫
王子は何だか不機嫌になった。
≪タイムテレポート!!!≫
ぐるうううんん
「あっ」という間に王子は巨大戦艦の食堂にとんでいた。
なかは宇宙空間を移動中のグラディウス帝国の船の中だった。
「あっ、戻してくれ、なんだここは」
ところが代償というのか代金を失っているため戻れなかった。
中は広い軍人用の部屋で大勢の人が食卓についている。
一人に話しかけて見た。
「あ、あのこの船は」
「あ、なんだおまえ。おう、お前も庸兵か剣を見せてみろ」
王子はアルクレオンソードをみせた。
彼はシャーアアッと抜いて眺めた。
「おれはな、マーシーフライトっていうんだ。へえ、かなり使いこんでいたんでいるけど頑丈で重圧なこしらえのいい剣だ。おまえ、高い武器もっているんだな。まだ子供なのにな」
「ああ、まあ」
「俺の武器はこれさ、『ユニークアーチェリー』高かったんだぞ」
芸術的な金色の弓をもっていた。
「それに、スリープダガー。護身用。デンジャラスマシンガン。実用的近代的武器だ。帝国の今を生きる庸兵マーシーフライト様の愛用品ってわけだ」
「マーシーフライト!?それでここは」
「帝国から時空警察に向かう軍事用戦艦さ。今度の戦争に雇わられたんだ」
ざわざわさわがしいが、軍人たちは話したり食べたり飲んだりしている。
「この新聞に詳しい経緯がのっている。古新聞だけど買うか?オレから中古だから一番安い小銭二枚でいいぞ、あるいは兵隊用の食事のチーズ半分でどうだ」
「食事!?ぼくの分?」
「兵隊はただでもらっていいんだ。酒も一杯ならフリーだぜ。二杯目から金取られるけど。遠慮なくあっちの配っている調理場からもってこいよ」
王子は列に並んで一人前持ってきた。
マーシーフライトは半分にナイフで切ってフォークで刺して口に入れた。
王子も残りをつまんで食べた。
「うまい!うちの自家製のチーズとも違う味だけど!」
「なに!?お前のうち、チーズなんか自家製でつくってんの?かわってんなー」
マーシーフライトは約束通り古新聞をくれた。
惑星バルハルと文字が同じなのは何故だか定かではない。
[われらグラディウス帝国は時空警察に力を貸し、軍事的に勝るとも劣らない軍事力をネクロポリス、時空警察の両者に見せつけるべきだ。戦争の敵国が異世界で魔界のネクロポリスであれば、時空警察に加担するのは考える余地のないことだが…]
新聞に目を通した王子は、巨大な岩が不安定な形で高所に止まっているのを想像した。
視界に収まらないほどの岩や山脈がななめに傾いている様を。
グラディウスという巨大帝国はそのような不安定な山脈に思えた。
いつ崩れてくるかわからない不安定さ、それがない巨大帝国はない。
それと同時に高いポテンシャルを秘めている。
だが破綻したとき、そのポテンシャルが崩れ落ちてアルクレオンの国などとは比較にならないほどの常識を逸した天変地異となるのだろう。
恐ろしいことをしている。宇宙に傾いている巨大摩天楼。
だが、それと同時に王子は未知の桃源郷に抱かれたい気分にさせられた。
3
寝所で休み次の日、朝食をとりに食堂に行くとマーシーフライトがいた。
「おう、眠れたか」
髪をポマードでべったりとかためて、戦闘態勢に入っている様子だった。
時空警察の近くに宇宙船は近づいた。
数多くのアガメムノンの連合の船にかこまれている。
そこを通りぬけられるか…
もし連中が交戦してきたら戦う覚悟だった。
だが、連合の船はマーシーフライトたちの船をそのまま通して攻撃はしてこなかった。
時空警察到着。
「御苦労さまです。今回は援軍のサポートをありがたく受け止める方針であります」
時空警察の然る大尉(たいい)がそう挨拶をして船を受け入れた。
王子もマーシーフライトも他の庸兵もゾロゾロおりて、待機となった。
王子はライトアリスタンダーのときみかけたような、ザンダナかイプセンのような人物を見かけて声をかけようか迷った。
広い母船のような軍事的な殺風景な広い高台のような建物。
「おい、こんなところで知り合いでも無駄話はよせ」
マーシーフライトにそういわれて王子は止められた。
これより、王子たちの戦闘の出番まで時空警察で待機がはじまった。
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