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World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー
閉ざされた世界
62 事業の成功と平穏な苦悶
ソリトンでのエネルギー事業は半分国営、半分マチルダとアレクセイの私営のような形態をとった会社になっていった。
エクスパニアのビルに事務仕事・研究職の職員がつめこまれた。
アルヘレンの共産主義体制なので公務員のような感じがする。
アレクセイは正直、理論上はともかく、原子力のように予期せぬところに危険な落とし穴があるのではないかと研究職員に熱心になってほしかった。
電磁波に危険はある。それをさらに細分化したソリトンはガラスや針が細かくて危険なような害がないとも限らないからだ。
だが、ソニックがあばれだすくらいで石油と互角に安全なのが続き、研究職員のダラダラはつづいた。
それがアレクセイを不安にさせた。
八方美人な事業のためか、事務職員・営業職員たちはやる気があり、活気があった。
(さがせ…ソリトンだって危ない部分があるかもしれないんだ)
だが、腹で念じてもアレクセイが生まれる前からこの世界ではそんな感じだ、どうにもならない。
金銭的にはリッチなビジネスだった。
(どうも、人を従えるとナーバス[神経回路]が苦しくなる……オレに経営は向いてないのでは…マチルダがありがたい。やつはそういう神経戦に頑丈にできている…)
アレクセイは正直そう思った。
二人三脚で古株のホビンやハーモットに頼らなければ成り立たない。
欲張るものも何もない。
アレクセイはそうなっていった。
63 スメルジャコフのバンジョー
エクスカリボーの一室でスメルジャコフがバンジョーをひきながら、ジプシーの謌をうたった。
アレクセイとホビンは拍手した。
「おまえといるとなんだかすごせるぜ」
アレクセイはそうスメルジャコフをたたえた。
バンジョーをおきながらスメルジャコフはいった。
「おまえ、そんなこといっていると、自分の女よその男にさわられるぞ」
「ゲッ」
「自分以外の男に頼らなくてもいられるようでないと」
スメルジャコフはコップの酒をたぐりよせていった。
「ラジオもダメか」
「半分いいけどダメだ」
「よその男にさわられるのは困るな」
「だろ!?医者とか先生みたいなのはちょっと別だけどな」
ホビンは「医者…」とぼそっとふいた。
64 エクスカリボーとエクスパニア
外から眺めてアレクセイはスカイスクレイパーエクスカリボーの超高層のビルのてっぺんにあるでっぱりをみていった。
「あの、出っ張りみたいな飾り…あれが老朽化して落ちてきたらどうするんだ。事故ですまない…」
ホビンがいった。
「そりゃ、業者でしょうね」
「不安になってくるぜ。無茶しなきゃよかった。ホントに建築業者とか全部わかっているのか」
「さあ」
マチルダの最上フロア以外の真ん中くらいの階の橋でエクスカリボーとエクスパリアはつながっている。
「橋の真ん中が空中レストランになっている」
「おいしそうだな」スメルジャコフとホビンの三人で食べた。
風船をはなすと浮かびあがる。
「フォークを落としたら危ないぞ」
マチルダがいちばん上でしっかと風船のひもをつかんだ。
「アレクセイたちですね。また遊んでいる…浮かれトンボめ」
65 体制
マチルダは女王なのでソリトンビジネス以外の国務全般をみている。
エクスパリアの最上階に女王室を占めていた。
アレクセイは、本人は不服ながらソリトンビジネスの責任者になっていた。
国営企業の社長のようだった。
「だけど、心労で胃が重たくなるぜ」
アレクセイは逃げ腰だった。
スメルジャコフはまえと違って一般職員が大勢いるようになっているので…
社長室に机を置いてアレクセイの仕事のサポートをする。
一般職員は何をやっているんだという目で見ているのか無言だった。
「本来…アイアンヘルム様の派遣で来ているからな。交換留学みたいなもんだ」
スメルジャコフは目を伏せていった。
ホビンがいった。
「ぼくは最初期からのメンバーだからいいけど、あまりやると一般職員からクレームがきますよ」
「アイアンヘルムとつるんでいることも、賛否両論だぜ。儲かっていると安心で自分たちだけで覇権をきかせたくなるんだ。だけど危ない」
ホビンが賛同した。
「それですよ。首都直轄だけど…正規軍の力のなさを考えると」
「だな。軍のことで知ったかぶりをしたくないけど、アイアンヘルムとつるんでいないとどんどん金を巻き上げられる首都というか政府になっていくだろうな」
「惑星アルヘレンの連中は共産趣向だからな。それでいいと誰もが考えているんだ」
スメルジャコフは煙草に火をつけた。
シュボ!ふぅー
「あ、お前たばこ吸うのか。前いたとき吸っていたか」
「たまにしか吸わないんだ」
「…変わった吸い方だな」
アレクセイが街に出かけたとき、街の人の一人にいわれた。
「金の力で何でもできると思わない方がいいですよ」
「チェッ、確かにそうだぜ」
「ソリトン、頼むよアレクセイ」
ともいわれた。
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