15
World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー
閉ざされた世界
56 見えないお金と1000年後の人間社会
マチルダが口を開いた。
「整理すると、神は人間の不平等や身分の差が存在するのを不浄と考えた」
「そう」
「けれども、時代が3000年…狩猟民族の生活から農耕社会にシフトした。だけど大変な苦痛を伴う移行だったと?」
「いや、サルからか原始人がいつからかで話が分かれるけど、3000年なんて短さじゃないだろうな狩猟時代なんて2万年とか続いたんだろ。でも、農耕や家畜の結果、富に蓄積っていうのか貯金ができるようになった。それが人間の不平等を生んだ」
ホビンがいった。
「栗のいたいたそうな棘と、二重の固い皮はその名残だと」
「神の計算でな。不浄と考える富の貯金も、第二段回とか第三段回にシフトすると許されてくる。そういうシステムで成り立つ社会が青写真のように神は用意していたんだ」
「ふーん」
「そして、モノや貨幣は貯金できるけど、見えない金っていうあいまいな存在がでてきた。文明のない社会だと見えない金なんてあたりまえにあったのかも。苦労が多すぎるからさ」
「見えないお金って苦労すると手に入るの?」
「わかんね。でも経験的にそんな感じがするけどな」
「ルソーみたいに富の貯金を嫌うのもよし、好き好むのもよしと」
「うん、どっちも罪でも正義でもない。神は好きな方を選べといいたいんだ」
「でも、原始社会につれもどされるんじゃ」
「夢のお告げじゃそんな感じさ。なりたつ社会システムはコンピュータのソフトウェアのようにいくつもあるんだろう。オレは3000年後の未知の未来の社会システムをのぞいてみてぇ!!」
「…資本の再分配はどうなるのです。あれにも問題がさとうきびのように」
マチルダは重みのかかった重低音でアレクセイにきいた。
「今現在だと…見えないお金はオーラのように本人の周辺に漂う。金みたいに配れない。結果、資本を再分配されると見えないお金が減耗してかえっていやらしいことにもなっているんじゃないのか。1000年後の人類は見えないお金も再分配している。そんなかんじかな」
57 さらに時が流れて
貯金を卸す。能力をおろす。髪をおろす。
理論や進学から工学や現実におろしたひとは、大人になり周囲の人に対し「自分は地位が上なんだぞ」と命令的になる現象がある。
おろしてしばらくは、人に頭を下げたくなく、いばりんぼうのようになることもある。
アレクセイはそのときそうなったが、あとでたっぷり後悔した。
あんなに周囲に対し高圧的な態度をとらなければよかったと後々考えた。
さらに一年後に進む…
スカイスクレイバー(空をくすぐるほどの高さの近代ビル)エクスカリボーを建築して引っ越したアレクセイたち。
もとの城や教会は旧館としてそのままのこした。
いまでもときどきいききがある。
エクスカリボーを飾るLEDが10キロ離れた地点からでもその点滅がみえる。
「鍋が熱い!!おネギもとろっとろにとろけてます」
アレクセイは鍋を美味しそうに食べた。
コンピュータの画面をのぞき、新型冷蔵庫のとびらをひらいてのぞく。
地上から88Fでの窓の外は高かった。
アレクセイの工業は大金を生みだし、アレクセイたちは大金持ちへとなった。
共産主義の支配するアリアロネン周辺のこと、アレクセイたちの金は税金という形で分配されていったが、それでもアレクセイたちは金を緩やかに使える立場になったのが事実だった。
大体、アレクセイたちの工学技術は国として推進したからなおさらそうだった。
大量の資金は首都からじわじわ周辺に浸透していく。
惑星アルヘレンの飢饉は基金へと転じていくかのようだった。
それにたいし首都を一方の極とするなら、反対の極(惑星アルヘレンは地球と同じで球だ)では反対の現象がおきていた。
つまりは一番首都から離れているため、どんどん貧困と悪質な治安の悪さへと移行していき、ニ分化が決定的になっていく。
アレクセイやマチルダは首都のひとびとに親のような立場にみられるようになっていく。
もちろん反対派はつねにいたが、首都では大した問題でない。
首都の近隣のアルメロンのアイアンヘルムと手を結んでいて、惑星アルヘレン全体として強国の意味合いを提示していった。
それは対立国の反発を強く招く。
アレクセイは裕福になり、さらには地位的にも優位になり温野菜のような日々が続いた。
だが、見えないお金のほうに圧力が働くのか、そちらは不利になった感触が強かった。
58 ソリトンエネルギー
ソリトンとスメルジャコフが派遣されてきた。
「ははは、なぜぼくの名前を?」
「ん?いや、なんとなくな」アレクセイが答える。
ガソリンスタンドのような施設でマチルダが自ら働いている。
からの透明な、不思議なキューブに『ソリトン』を注入する。
半透明の青白いものでキューブがみたされた。
「振動しているぞ」スメルジャコフが感動していった。
「海のさざ波のような音が聞こえます」ソリトンがそういった。
「ああ、波だからな」
お客さんの若い兄ちゃんがいった。
「アレクセイ、このあいだソリトンからソニックがでて窓ガラスが割れたぞ」
「すまん、研究して安全にする」
「頼むぞ」
このエネルギービジネスがアレクセイの工学を利用した商売だった。
ソリトンと名付けた未知のエネルギーで首都の周辺はみたされた。
0 件のコメント:
コメントを投稿